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トップレベルの21歳対決! 藤井聡太NHK杯選手権者-伊藤匠七段 2月4日放映、NHK杯準々決勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月4日。NHK杯準々決勝、藤井聡太NHK杯選手権者(八冠)-伊藤匠七段戦が放映されます。

 両者はともに21歳。全八冠を制している藤井NHK杯の強さは改めて言うまでもありませんが、伊藤七段も今年度、竜王戦に続いて棋王戦でも挑戦権を獲得し、すでに実力トップレベルの棋士の一人です。

 藤井現NHK杯は前期の優勝者です。

 藤井NHK杯は今期、1回戦はシード。2回戦では出口若武六段、3回戦で久保利明九段に勝ってベスト8に進出しました。

 伊藤七段は今期で3回目のNHK杯本戦出場。1回戦から順に勝又清和七段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段を連破しています。

 藤井現NHK杯と伊藤現七段の公式戦初手合は、昨年のNHK杯2回戦。結果は藤井勝ちでした。

 このとき解説を担当していたのは渡辺明名人(現九段)で、以下のような言葉が残されています。

渡辺「このお二人の対戦って、これ今日は2回戦なんですけど、決勝戦でもおかしくないようなカードなんですよね」「伊藤五段も勝率的には昨年度も8割を超えて(中略)本当ならタイトルはたぶん、すぐ取れてもおかしくないぐらいの勝ちっぷりなんですけど。ただやっぱ同学年にこういう人がいると、仮に挑戦者とか行ってもね、簡単じゃないんで。そういう意味ではもう、藤井竜王に勝たないと、っていうのがね。もうたぶん、伊藤五段にとっては棋士人生の中でずっとそれがテーマになるっていうことですよね」

 渡辺九段の言葉通り、伊藤七段は早くからのその実力が高く評価されてきました。そして同い年の藤井NHK杯が厚い壁となっています。

 藤井-伊藤戦はこれまでに6局おこなわれ、すべて藤井勝ちでした。

異例の両者「分身」

 棋王戦五番勝負第1局の前夜祭がおこなわれる2月3日には、ABEMAで地域対抗戦が放映されます。藤井NHK杯はチーム中部の主力選手です。

 テレビ棋戦やABEMAの対局などは、事前に収録されています。そのため、放映日に他の対局が重なると、観戦者の目線では、対局者が「分身」したかのように見える現象が起こります。

 2月4日にはNHK杯準々決勝と棋王戦五番勝負第1局、いずれも大きなところで藤井-伊藤戦が組まれています。

 対局者の一方が分身する例は、これまでしばしばありました。しかし両方が分身して同時進行で2局指されているように見える例はまれです。それだけ両者がよく勝っているという証明でもあるでしょう。

 ここ3週の日曜日、藤井NHK杯の分身ぶりは以下の通りです。

1月21日 NHK杯(対局)王将戦第2局

1月28日 NHK杯(解説)王将戦第3局

2月4日 NHK杯(対局)棋王戦第1局

解説にも注目!

 1月28日放映のNHK杯3回戦▲古森悠太五段-△佐々木勇気八段戦では、藤井NHK杯が解説を担当して話題になりました。

 そして本局、藤井-伊藤戦で解説を担当するのは、前期準優勝者・佐々木八段です。その鋭く冴えた解説にも注目したいところです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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