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増田康宏七段(26)A級昇級決めるか? 羽生善治九段(53)は追いかける展開 12月21日、B級1組

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 本日12月21日、第82期順位戦B級1組10回戦の対局がおこなわれます。対戦カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

【東京・将棋会館】

▲羽生善治九段(5勝3敗)-△木村一基九段(0勝8敗)

▲佐藤康光九段(4勝4敗)-△三浦弘行九段(3勝5敗)

▲大橋貴洸七段(5勝3敗)-△近藤誠也七段(4勝5敗)

【愛知・名古屋将棋対局場】

△増田康宏七段(8勝1敗)-▲澤田真吾七段(5勝4敗)

【大阪・関西将棋会館】

△糸谷哲郎八段(5勝3敗)-▲屋敷伸之九段(4勝4敗)

▲山崎隆之八段(4勝4敗)-△横山泰明七段(1勝7敗)

増田七段、1期抜けなるか?

 「鬼のすみか」と呼ばれるB級1組。強豪ひしめく総当りリーグを勝ち抜き、A級に昇級できるのは、上位2人です。

 現在昇級争いの単独トップを走るのは8勝1敗の増田七段。すでに2敗者もいません。増田七段はB級2組から昇級してきたばかりの1期目で、順位最下位という点は不利ですが、星の上ではかなり有利な状況です。

 増田七段は澤田真吾七段と対戦します。増田七段と澤田七段の過去の対戦成績は増田1勝、澤田2勝。2021年度のB級2組では澤田七段が勝っています。

 増田七段を追う千田七段は現在6勝3敗で、本日は空き番となります。

 もし本日、増田七段が澤田七段に勝って9勝1敗となり、3敗勢が崩れると、昇級が決まる可能性まであります。

 前々期は藤井聡太現八冠、前期は中村太地現八段が、B級1組1期抜けを果たしています。

A級復帰を目指すレジェンド羽生九段

 羽生九段は名人9期を含めA級以上29期を誇る将棋界のレジェンドです。

 羽生九段はB級1組に降級して1期目の前期、途中で黒星が先行する苦しい進行となりました。しかし最後は追い込んで6勝6敗の指し分けに持ち込んでいます。

 羽生九段は今期ここまで5勝3敗。昇級の可能性を残して終盤を迎えました。

 羽生九段が10回戦で対戦するのは木村九段です。

 木村九段は過去にA級5期などの実績がある名棋士。前期はB級2組からB級1組への昇級を決めました。

 木村九段は今期B級1組においては、ここまで0勝8敗と不振。すでにB級2組への降級が決まっています。しかし来期の順位のための戦いは、依然続いていきます。なにより羽生九段との対戦は、特別なものがあるでしょう。

 羽生九段と木村九段の過去の対戦成績は、羽生35勝、木村18勝(タイトル戦の持将棋1)です。

 両者は順位戦ではA級で2回対戦し、いずれも羽生九段が勝っています。B級1組では初めての対戦です。

 数々の名勝負を戦ってきた両者。本局もまた、名局を期待したいところです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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