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近藤誠也七段(27)朝日杯本戦進出決定 二次予選決勝で羽生善治九段(53)に勝利

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月14日。東京・将棋会館において第17回朝日杯将棋オープン戦二次予選決勝▲近藤誠也七段(27歳)-△羽生善治九段(53歳)戦がおこなわれました。

 14時に始まった対局は15時47分に終局。結果は115手で近藤七段の勝ちとなりました。

 近藤七段はこれで本戦進出が決定。1回戦では渡辺明九段と対戦します。

近藤七段、手堅く勝ち切る

 羽生九段と近藤七段は順位戦ではB級1組に所属。11月9日、両者が対戦した今期8回戦では、羽生九段が勝っています。

 両者は今回の朝日杯は二次予選からの登場。本日10時開始の1回戦では、羽生九段は岡部怜央四段、近藤七段は阿部光瑠七段に勝っています。

 本局は近藤七段先手で、戦型は相矢倉。近藤七段は早囲いから角をぶつける形を選びました。

 序盤の駆け引きの末、羽生九段が銀矢倉の堅陣に組んだのに対して、近藤七段は金銀が開いたバランス重視の構えを取ります。

 互いに相手陣に攻めかかる矢倉らしい戦いに入ったあと、羽生九段は端9筋で歩を連打し、香を吊り上げてから桂を跳ねます。しかし近藤七段に歩を2枚渡すので、結果的にはどうだったか。羽生九段は感想戦で単に桂を跳ねておく変化を示していました。

羽生「単にっていうこともあったんですか、もしかして。そうか・・・。いやあ、そうでしたか」

 近藤七段は受けながら角金交換の駒得を果たし、リードを広げていきました。

 終盤、羽生九段が逆転のねらいを秘めた角を中段に打ったのに対して、近藤七段は羽生玉に王手をかけながら攻防の飛車を打ちます。以下は近藤七段が羽生九段の攻めをていねいに受け止めました。満を持して羽生玉の寄せに出たところで、羽生九段が投了。終局となりました。

 朝日杯過去5回の優勝を誇る羽生九段は、今期はここで敗退。一方で近藤七段は初の本戦進出を果たしました。

近藤「まず本当に本戦に行けたというのは、ひとつ嬉しいことだと思いますし。本戦以降はちょっとやったことがないんで、これから先は楽しみな部分でもありますし、ちょっとよくわからないですね」

 近藤七段が本戦で当たるのは、所司和晴七段門下の偉大な兄弟子、渡辺明九段です。

 羽生九段と近藤七段の通算対戦成績は羽生8勝、近藤3勝となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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