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「先勝でスタートできたことはよかったです」藤井聡太王将(20)王将戦七番勝負第1局終了後コメント

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太王将「(羽生善治挑戦者の一手損角換わりは予想していた?)いえ、本局に向けて想定していたわけではなかったんですけど。そうですね、近い形を考えたことがあったので。序盤はそれを思い出しながら進めていました。(経験もあった?)一応、考えたことのある形でした。(1日目を振り返って)▲2五飛車△3六銀のところで(41手目、飛車を逃げず、代わりに相手玉に王手をする)▲1五角とかやっていく手とかも考えたんですけど、あまり成算が持てなかったので。ただ、本譜だと、1歩損になってしまうので。ちょっと、あまり、なんというか、よい進行ではなかったかな、と思っていました。(2日目朝、46手目△3七歩は予想していた?)そうですね。(44手目、羽生挑戦者の封じ手)△5八同成銀▲同金の局面、手が広いかと思っていたので。そうですね。なんというか。指された手に対応できればと思っていたんですけど。△3七歩と打たれて(動きを)催促されている形なので。こちらもなんというか、やっていくような展開になるかなと思いました。(47手目)▲4三銀に△3五銀と打たれて。ちょっとそうですね、そこで(飛車をいったん逃げず)単に▲3二銀成と(金を)取って、同じように進めるべきだったかもしれないですけど。うーん、ちょっとそうですね。そのあたりの比較がよくわからなかったです。一応(2一の)桂を取って▲7四桂(飛車取りとともに相手玉の逃げ道をふさぐ)の組み立てではあったんですけど。ただ、そうですね。こちらもそんなに攻め駒が多いわけではないので。難しいのかなと思ってやっていました。(2日目午後、攻め合いに)受ける手も、なんというか、難しいかなと思ったので。一応(69手目)▲6五桂と跳ねて、こちらの玉もすぐに寄ってしまう形ではないので。こちらとしてはなんというか、仕方ない感じかなと思っていました。(攻めがつながりそうだと思った局面は?)(81手目)▲7四馬まで進んで、けっこうそうですね、4筋に歩が立つので。(相手玉は)受けづらい形なのかなと思いました。(反省する点は?)長考した場面で、あまり考えても見通しが立たないことが多かったので。ちょっとそうですね、そのあたりの判断力を上げなくてはいけないのかなと感じました。(2日制の将棋、七番勝負を初めて戦っての羽生挑戦者の印象は)こちらがけっこう予想してない手を指されることも多くて。それでこちらが長考するということが多かったので。やはりなんというか、自分にはないものを持たれているのかなというのを、改めて感じました。(第2局に向けての抱負を)まず本局を振り返って、また次局以降、より内容をよくしていけるようにがんばりたいと思います。(タイトル戦第1局については棋聖戦、王位戦、竜王戦と敗れていたので連敗を止めたことになる)あ、いや、特にもともとなんかそれを意識してたいというわけではないんですけど。この王将戦に関して、先勝でスタートできたことはよかったです。(本局は)攻めていく展開ではあったんですけど。飛車を取られてしまっているので、こちらの攻めがうまく続くかどうか、きわどいのかなと思っていました」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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