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レジェンド羽生善治九段(52)終盤の逆転で長谷部浩平五段(28)に勝利 朝日杯二次予選決勝に進出

松本博文将棋ライター

 12月14日。東京・将棋会館において朝日杯二次予選▲長谷部浩平五段(28歳)-△羽生善治九段(52歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 対局開始に先立つ振り駒の結果、「と」が4枚出て、先手は長谷部五段と決まりました。

 10時、対局開始。相居飛車の立ち上がりから駆け引きがあって、互いに矢倉に組み合う進行となりました。

 中盤、羽生九段は飛銀交換の駒損の代償に、長谷部陣を薄くして攻め込む態勢を作ります。長谷部五段は手にした飛車を羽生陣に打ち込んで反撃。形勢はほぼ互角のまま、終盤を迎えました。

 両者ともに40分の持ち時間を使い切り、一手60秒未満で指す「一分将棋」で迎えた96手目。羽生九段は「羽生ゾーン」と言われる2七の地点に銀を打ちます。きびしい飛車取りですが、長谷部五段はそれにかまわず羽生玉に迫って、優位に立ちました。

 長谷部五段が押し切れるかどうかという最終盤。羽生玉は上下はさみうちの形で、すぐにでも寄ってしまいそうなところ、羽生九段はそう簡単には決め手を与えません。

 114手目。羽生九段は自陣の底に、相手の飛車筋をさえぎる香を打ちます。これで速度が逆転。羽生九段が勝勢となりました。

 一手の余裕を得て、かすかに手を震わせながら、長谷部玉を追いつめていく羽生九段。最後は龍も切り捨て、きれいな即詰みの順に入ります。

 134手目、羽生九段の銀打ちの王手を見て、長谷部五段は投了。12時14分、羽生九段勝ちで終局となりました。

 羽生九段は14時からおこなわれる二次予選決勝に進出。本戦入りをかけて、三枚堂達也七段と対戦します。両者の過去の対戦は1回。2019年の朝日杯二次予選で当たり、羽生九段が勝っています。

 本戦に進むと、稲葉陽八段との対戦になります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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