Yahoo!ニュース

試験合格目前! 小山怜央アマ(29)五番勝負第2局で岡部怜央四段(23)に勝ち、棋士編入まであと1勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月12日。東京・将棋会館において棋士編入試験五番勝負第2局▲小山怜央アマ(29歳)-△岡部怜央四段(23歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は16時39分に終局。結果は111手で小山さんの勝ちとなりました。

 小山さんは徳田四段、岡部四段を連破して2連勝。あと3局のうち1局で勝てば、試験合格が決まります。

 1月におこなわれる第3局では、狩山幹生四段と対戦します。

小山さん、またも角換わり最新形で勝利

 小山さん先手で、戦型は角換わり腰掛銀。序盤は早いスピードで進んだあと、中盤は互いに時間を使い合う難しい展開となりました。

 62手目、岡部四段が左端9筋に歩を垂らした局面で、12時、昼食休憩に。

 12時40分に対局が再開され63手目、小山さんが6筋の飛車を2筋に戻して、午後の戦いが始まりました。

 68手目。岡部四段は9筋に角を打ち込みます。対して小山さんは6八にいた玉を早逃げで5八、4七とは逆サイドに移動させていきました。岡部四段は飛車先を突破して8筋に龍を作り、ほんのわずかに小山さんリードと形勢で、終盤を迎えます。

 82手目。岡部四段は中段に金を打ちます。これが本局のポイントとなったようです。代わりに桂を跳ぶ手が優ったか。本譜、小山玉は四段目に引っ張り出される怖い形となりますが、それできわどくつかまりません。

 里見香奈女流五冠の棋士編入試験で、岡部四段は逆転勝ちを収めています。小山さんが少しでも誤れば、たちまち逆転していたかもしれません。

 小山玉はさらに追われて2六にまで逃げますが、やはりきわどく寄らない。

 最後は小山さんが一手の余裕を得て岡部玉に迫ります。111手目。小山さんは歩頭に桂を打って王手。岡部玉はきれいに詰んでいます。岡部四段が投了し、終局となりました。

 小山さんは7月の朝日杯一次予選に続き、岡部四段に勝利。五番勝負合格、棋士編入まであと1勝と迫りました。

小山さん、ついにあと1勝

「プロと遜色ない実力の持ち主」

 小山さんと朝日杯二次予選決勝で対戦した広瀬章人八段は、小山さんについて、そう評していました。小山さんの実力については、すでに多くの棋士が認めているところです。

 とはいえ、編入試験の五番勝負で3勝という結果を残さないと、棋士にはなれないのが将棋界というところ。棋士になる夢にあと一歩と迫った小山さん。夢をかなえることはできるでしょうか。

 今年6月にはアマチュア竜王戦全国大会で優勝している小山さん。竜王戦6組ではアマの代表として、1回戦で徳田四段と対戦します。

 小山さんは前々期の竜王戦6組では、ベスト4にまで進んでいます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

松本博文の最近の記事