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広瀬章人挑戦者、カド番をひとつしのぎ2勝目! 藤井聡太竜王、七番勝負初の2敗目喫す 竜王戦第5局終了

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 11月25日・26日。福岡県福津市・宮地嶽神社貴賓室において第35期竜王戦七番勝負第5局▲広瀬章人挑戦者(35歳)-△藤井聡太竜王(20歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 25日9時に始まった対局は26日18時34分に終局。結果は133手で広瀬挑戦者の勝ちとなりました。

 七番勝負はこれで藤井3勝、広瀬2勝。広瀬挑戦者がカド番から一つ返しました。

 藤井竜王は七番勝負(2日制8時間)で初めて2敗目を喫し、初めて第6局を指すことになります。

 第6局は12月2日・3日、鹿児島県指宿市・指宿白水館でおこなわれます。

 両者の通算対戦成績は藤井9勝、広瀬3勝となりました。

広瀬挑戦者、勝って第6局へ

 84手目、藤井竜王が反撃の角を打ったところで2日目昼食休憩に。形勢はやや藤井ペースと見られていました。

 広瀬挑戦者は休憩をはさんで長考を続け、1時間40分の消費でじっと飛車を逃げます。

 90手目。藤井竜王には主に2つの手段が考えられました。1つは角を切って王手で金を取り、すぐに広瀬玉に迫っていく順。もう1つは角で飛車を取る順です。

 本譜、藤井竜王は28分考え、飛車を取りました。ここでコンピュータ将棋ソフトが示す評価値は、藤井よしから互角へと戻ります。藤井竜王には珍しい判断ミスだったのかもしれません。

 追いついた形の広瀬挑戦者。そこからさらにポイントを稼ぎ、ついに優位に立ちます。終盤は一手勝ちの形を作り、藤井玉を受けなしに追い込みました。

 藤井竜王は最後、詰まされるところまで指して投了。広瀬八段が大きな1勝を返しました。

 今期竜王戦で11回目のタイトル戦登場となる藤井竜王。2敗目を喫したのは七番勝負では初。五番勝負も含めると2021年の叡王戦五番勝負、豊島将之叡王戦(当時)以来となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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