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王座戦4連覇中の永瀬拓矢王座(30)史上3人目となる名誉王座の資格を獲得できるか?

松本博文将棋ライター

 10月4日。永瀬拓矢王座(30)が王座戦五番勝負を制し、防衛、4連覇を達成しました。

 王座は連続5期、あるいは通算10期保持すると「名誉王座」の称号を獲得します。永瀬王座は来年2023年度に防衛をはたせば5連覇達成。記者からの問いに答える形で、永瀬王座は次のように語っていました。

永瀬「いつも通りがんばるしかないとは思うんですけど。めったにない機会、チャンスですので、ものにできるようにがんばりたいなと思っています」

 もし来年度、防衛に失敗すると連覇が途切れるため、名誉王座への道はぐっと遠くなります。誰が挑戦者に名乗りをあげてきても、五番勝負は盛り上がることでしょう。

 永世称号の資格条件は、棋戦によって異なります。

 名誉王座の制度は囲碁、将棋ともに1996年に制定されました。将棋界では唯一の「名誉」と名がつくタイトル戦永世資格です。

 このとき囲碁では加藤正夫九段(連続最高8期、通算11期)が名誉王座の資格を得ました。現在に至るまで、囲碁では加藤名誉王座ただ1人が資格保持者です。

 将棋では中原誠永世十段(連続最高6期、通算16期)と羽生善治王座(当時5連覇達成)の2人が資格を得ています。

 2007年、中原永世十段は60歳の誕生日を迎え、名誉王座の称号も名乗りました。

 羽生王座は1992年にその地位に着いて以来、19連覇という、おそろしい記録を達成しました。これはタイトル戦における連覇記録です。

 2011年、いったんは渡辺明現名人に王座を明け渡したものの、翌2012年にリターンマッチを挑んですぐ取り返し、それからまた5連覇。合計24期王座獲得という、これもまたタイトル戦史上1位の記録を打ち立てています。

 輝かしい実績を誇る大棋士2人に続いて、永瀬王座は名誉王座の資格を獲得できるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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