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午前中から乱戦! A級復帰を目指す羽生善治九段(52)B級1組6回戦で澤田真吾七段(30)と対局

松本博文将棋ライター

 9月29日10時。第81期順位戦・B級1組6回戦が始まりました。対戦カードは以下の通りです。

【東京・将棋会館】

▲中村 太地七段(4勝0敗)-△三浦 弘行九段(4勝1敗)

△佐々木勇気七段(3勝2敗)-▲丸山 忠久九段(3勝2敗)

▲久保 利明九段(2勝2敗)-△郷田 真隆九段(1勝3敗)

△屋敷 伸之九段(1勝4敗)-▲近藤 誠也七段(1勝4敗)

【大阪・関西将棋会館】

▲山崎 隆之八段(3勝2敗)-△千田 翔太七段(3勝2敗)

【愛知・名古屋将棋対局場】

△羽生 善治九段(2勝2敗)-▲澤田 真吾七段(2勝2敗)

 羽生九段は9月27日に誕生日を迎え、52歳となりました。デビューしたのは1985年、15歳のとき。以来、数々の驚異的な実績を積み重ねてきた将棋界のレジェンドです。順位戦では名人位9期を含め、A級以上29期という記録を誇ります。

 羽生九段は今期、B級1組から昇級を目指します。ここまでは山崎八段、佐々木七段に勝ったあと、久保九段、三浦九段に敗れて2勝2敗です。

 一方、B級2組から昇級して1期目の澤田七段。佐々木七段、屋敷九段に勝ったあと、山崎八段、近藤七段に敗れて2勝2敗です。

 両者ともに連勝スタートから連敗という星取り。勝って昇級争いに近づけるのはどちらでしょうか。

 澤田七段は三重県在住。今年4月に開設された名古屋将棋対局場は「ホーム」になります。

 本局は東京在住の羽生九段が「アウェイ」の名古屋に移動しての対戦となります。

 10時。

「それでは時間になりましたので、澤田先生の先手番でお願いします」

 記録係が対局開始の合図をして両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間各6時間(チェスクロック方式)の対局が始まりました。

 戦型は相掛かり。両者ともに序盤から妥協せず、あっという間に激しい戦いとなりました。

 29手目。澤田七段は早くも2筋から飛車を成り込みます。対して羽生九段は3筋で桂得の戦果をあげました。

 激しいながらもバランスは取れて形勢は互角。35手目、澤田七段が8筋に歩を垂らしたところで羽生九段は熟慮に沈みます。

 そしてそのまま羽生九段は次の手を指さず、12時前、昼食休憩に入りました。

 どちらが勝つにせよ、手数的にはもしかしたら、短手数で終わる可能性もありそうです。しかし時間の進行的には順位戦らしく、この先は長い戦いになりそうです。

 羽生九段と澤田七段は過去に2回対戦し、羽生九段の2連勝。今年の王位リーグ最終局では羽生九段が勝ち、残留を決めています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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