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「いいスタートが切れたんですけど、七番勝負は長い」名人戦、渡辺明名人が斎藤慎太郎挑戦者に2連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月19日・20日。石川県金沢市「金沢犀川温泉 川端の湯宿 滝亭」において第80期名人戦七番勝負第2局▲斎藤慎太郎八段(28歳)-△渡辺明名人(37歳)戦がおこなわれました。

 19日9時に始まった対局は20日20時12分に終局。結果は132手で渡辺名人の勝ちとなりました。七番勝負はこれで渡辺名人の2連勝です。

 第3局は5月7日・8日、福岡県福岡市・アゴ-ラ福岡山の上ホテル&スパにておこなわれます。

 両者の通算対戦成績はこれで渡辺10勝、斎藤4勝となりました。

渡辺明名人、終局後コメント

渡辺名人「(相手の角換わり早繰り銀を受けて立った)作戦は、はい、いろいろあるので、やられたところに対応しようとは思ってたんですけど。(38手目)△6五歩は趣向で、本譜みたいに(△6四角と)角打って、ちょっと(相手の攻めの銀の)出足を止めて、持久戦にしようというような作戦だったんですけど。そのあとはちょっと手が広いんでまあ、出たなりという感じだったんですけど。1日目の午後はかなり手が詰まってきて。どこ動かしていいかわからないような局面が続いたという感じですね。(48手目、銀を引いて銀矢倉に組む)△4三銀を決断したところで(52手目)△7五歩以下の攻め合いはまあ、しょうがないところというか。それがいやだったら△4三銀でもうちょっとなんか、待つ手を指すとこなんでしょうけど。ちょっとそれだと苦しくなっていきそうだったので。(封じ手は54手目、端9筋の突き捨て)△9五歩入れるかどうかは微妙なところかなと思ったんですけど、あとだと入らないかもしれないんで。やるならあのタイミングなのかな、という感じで。(74手目△6四角のあたりは)ちょっとわかんなかったですけど、攻めていくしかないところなので。仕方がないという感じで攻めていっていましたけど。ちょっと見通しが立ってなかったんで。攻め出したあとの分かれがどうなるかは、わかってなかったですね。(手ごたえを感じたのは?)駒得になったあたりですかね。(92手目、香を取る)△9九と、とか(その前の)△8九歩成で攻めが切れなくなったあたりで、攻めとしては成功したかな、という感じはありました。(2日目夕方、93手目▲7五歩の局面で休憩)夕休のところでは(相手からの)入玉が気になってたんで。それをケアしながら駒得をキープするような順を考えてはいました。最後(126手目)△5六桂打とかで寄せの順になったんで、それでつながってれば勝ちかなと。はい。(これで開幕2連勝)いい形、いいスタートが切れたんですけど、七番勝負は長いので、また来月からやっていきたいというところですね」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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