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レジェンド羽生善治九段(51)王位戦リーグ今期初白星! トップを走る池永天志五段(28)の連勝止める

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月13日。東京・将棋会館において、お~いお茶杯第63期王位戦・挑戦者決定リーグ白組▲池永天志五段(28歳)-△羽生善治九段(51歳)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は18時12分に終局。結果は78手で羽生九段の勝ちとなりました。

 リーグ成績は羽生九段1勝2敗、池永五段3勝1敗。ここまで2戦全敗だった羽生九段が3戦全勝の池永五段を止め、リーグは混戦の様相を呈してきました。

羽生九段、一手損角換わり採用で快勝

 羽生九段は1993年に初めて王位戦リーグに入りました。そしてそのまま勝ち進み、初の王位獲得。以後は王位通算18期という恐るべき偉業を打ち立てています。

 羽生九段は前期、挑戦者決定戦で敗れました。

 羽生九段は1993年以降、リーグからの陥落なしという、こちらもまた恐るべき記録を更新中です。

 今期リーグ、羽生九段はここまで久保利明九段、糸谷哲郎八段に敗れて2連敗でした。もしあと1敗を喫すると陥落が決まり、リーグ残留記録もここでストップとなります。

 一方の池永五段は若手実力者。王位戦では2期連続で予選を勝ち進み、2期目のリーグ参加です。そして今期はここまで千葉幸生七段、澤田真吾七段、久保利明九段に勝って3連勝。もし本局に勝てば白組優勝に大きく近づくところでした。

 両者は過去に公式戦で2回対戦。前期王位戦リーグでは羽生九段、前期棋王戦トーナメントでは池永五段が勝っています。

 非公式戦では昨年のABEMAトーナメントで対戦し、羽生九段が勝ちました。

 本局は池永五段が先手。なんでも指しこなす羽生九段は、後手を持って一手損角換わりの作戦を採用しました。羽生九段が早繰り銀に出たところで池永五段が歩を突っかけて動き、互いに馬(成角)を作り合う乱戦となりました。

 バランスが保たれ、難しい中盤戦。池永五段は積極的に攻めていきます。対して羽生九段は的確にしのいで反撃。羽生九段が優位に立ちました。

 羽生九段は終盤でも誤らず、正確なフィニッシュ。2枚の角の力で池永玉を受けなしに追い込みました。

 藤井聡太王位(19歳)への挑戦権争いは、まだまだ熾烈な戦いが続いていきます。

 リーグ紅組では15日、トップを争う近藤誠也七段(3勝0敗)と豊島将之九段(2勝0敗)の無敗決戦がおこなわれます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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