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藤井聡太挑戦者(19)終盤で優位に立つ 渡辺明王将(37)逆転の手段はあるか? 王将戦第4局2日目

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月12日。東京都立川市「SORANO HOTEL」において第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局▲渡辺明王将(37歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦、2日目の対局が続いています。棋譜は公式ページをご覧ください。

 13時30分、対局再開。藤井挑戦者は渡辺陣深くに角を成り込み、馬を作ります。その馬を渡辺玉に寄せ、互いの玉が危ない形。局面ははっきり、終盤に入りました。

 88手目。藤井挑戦者からは守りの金で質駒の桂を取り、一気に相手玉に迫る順がありました。藤井挑戦者もその順は読んだことでしょう。しかし27分の考慮で、じっと自玉を相手の駒から遠ざけました。「玉の早逃げ八手の得」という将棋の格言通り、これもよさそうな手です。

 ここは渡辺王将もチャンスが来たかと思われる場面でした。渡辺王将もまた、考えられうる、あらゆる手段を検討したことでしょう。そして30分を使い、飛車を一段目に引きました。馬取りで相手に攻めを催促する勝負手です。

 藤井挑戦者は馬を切り捨て、相手玉を守る金と刺し違えます。王手にもいい王手と、そうでない王手があります。これは厳しい王手か。形勢は藤井挑戦者が優位に立った模様です。

 92手目。藤井挑戦者は桂取りに歩を打ちます。正確な速度計算に基づき、これで大丈夫と踏んだのでしょう。残り時間は渡辺1時間47分、藤井1時間12分。このまま進んでは速度負けしそうな渡辺王将。なにか逆転につながる技を出すことができるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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