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将棋界のレジェンド・羽生善治九段(51)29期在籍したA級からの陥落が決定

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月4日。東京・将棋会館において第80期A級順位戦8回戦▲羽生善治九段(2勝5敗)-△永瀬拓矢王座(3勝4敗)戦がおこなわれました。

 10時に始まった対局は22時22分に終局。結果は78手で永瀬王座の勝ちとなりました。

 永瀬王座は4勝4敗でA級残留が確定しました。

 一方、羽生九段は2勝6敗。最終戦を待たずして下位2枠に入ることが決まりました。これで名人位9期を含め、29期連続で在籍したA級から陥落となりました。

静かに訪れた歴史的瞬間

 羽生九段先手で、戦型は相掛かり。現代最新の実戦例、水面下での研究などを踏まえた上で、難しい序中盤となりました。

 永瀬王座は中段の要所に飛角銀を配し、主導権を握ります。羽生九段は相手陣に角を打ち込み、角銀交換の駒損から攻めていきますが、永瀬王座が冷静に対応し、リードを奪ったように見えました。

 羽生九段は相手陣に飛を打ち込み、さらに銀を打つ見えにくい筋で攻めを継続。差を詰めていきます。

 終盤に入り、永瀬王座は歩を垂らして、歩を成る攻めを間に合わせるべく、寄せ合いに出ました。形勢は再び永瀬王座よし。そして突き放し、勝勢を築きました。

 羽生九段は最後、一手違いにして形を作ります。そして自玉が詰まされたのを見て、静かに投了を告げました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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