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大天才・藤井聡太挑戦者(19)後手番で完璧ブレイク! 王者・豊島将之竜王(31)を圧倒し竜王戦2連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 10月22日・23日。京都府京都市・総本山仁和寺において第34期竜王戦七番勝負第2局▲豊島将之竜王(31歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 22日9時に始まった対局は23日17時10分に終局。結果は70手で藤井挑戦者の勝ちとなりました。

 藤井挑戦者はこれで七番勝負2連勝。あと2勝で初の竜王位獲得。さらには史上最年少19歳での四冠同時保持となります。

 第3局は10月30日・31日、福島県いわき市「雨情の宿 新つた」でおこなわれます。

 豊島竜王と藤井挑戦者の通算対戦成績は豊島9勝、藤井10勝。藤井挑戦者がついに逆転しました。

 藤井挑戦者の今年度成績は驚異の35勝6敗(勝率0.854)となりました。

 まだ年度なかばではありますが、藤井挑戦者の成績は史上最高の年度勝率(1967年度、中原誠五段=0.855)をうかがうペースです。

藤井挑戦者、後手番で完勝

 豊島竜王先手で相掛かり。豊島竜王が早めに角を上がる新構想に対して、後手番の藤井挑戦者がどう応じるのかが注目されました。

 藤井挑戦者は飛車を中央に移動させ、攻めの銀を中段に繰り出していきます。1日目は42手目まで進み、豊島竜王が43手目を封じました。

 2日目。藤井挑戦者は角の利きをいかしながら相手陣に歩をたらす自然な攻めを実現し、ペースを握ったと見られていました。

 52手目。藤井挑戦者は相手の香を取りながら桂を不成で飛び込みます。そこで12時30分、昼食休憩に入りました。

 昼休明けの53手目。豊島竜王は取れる銀を取らず、飛車先に歩をたらす勝負手を放ちます。以下は駒の取り合いとなり、局面は早くも終盤戦の様相を呈してきました。

 62手目。藤井三冠は11分考え、歩を成って決めにいきます。持ち時間8時間のうち、残りは豊島59分、藤井1時間19分。

 藤井挑戦者は以前、中盤で惜しみなく時間を使い、終盤では相手と残り時間で大差がつく展開が多かったものです。しかし最近では、あまりそういった場面も見られなくなってきました。

「勝ち将棋、鬼のごとし」

 そんな言葉の通り、藤井挑戦者からは飛車角を起点に次々と好調な攻めが続きます。最後はその飛車を切り捨てて、豊島玉は受けなしに。振り返ってみれば、豊島竜王の新構想に対し、飛車を中央に据えた藤井挑戦者の構想が見事でした。

 70手目。藤井挑戦者は銀を打って王手をかけます。豊島玉はまだ詰まない。しかし攻防ともに見込みはありません。豊島竜王は2分考え、次の手を指さずに投了しました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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