10月21日10時。東京・将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ▲広瀬章人八段（34歳）－△羽生善治九段（51歳）戦が始まりました。

　本局がおこなわれるのは将棋会館５階、特別対局室。広瀬八段は早めに下座に着いていました。ほどなく羽生九段も入室。床の間を背にして上座にすわります。

羽生「すみません、失礼します」

　羽生九段は駒箱を手にして、駒袋を取り出し、盤上に駒をあけます。両者大橋流の作法で駒を並べる途中、盤上中央には歩が裏返った「と」が多く見られました。

「それでは時間になりましたので、広瀬先生の先手番でお願いします」

　記録係が定刻10時になったことを告げ、両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間４時間の対局が始まりました。

　広瀬八段先手で、戦型は角換わりに進んでいます。

　ちょうど11時頃。26手目、羽生九段は早くも中段に桂を跳ね出し、動いていきました。

　羽生九段は永瀬拓矢王座に敗れたあと、近藤誠也七段、豊島将之竜王に勝ってここまで２勝１敗です。

　広瀬八段は豊島竜王に勝ったあと、藤井聡太三冠に敗れて１勝１敗です。

　２敗すると挑戦はかなり厳しくなる王将戦リーグ。本局は１敗同士のサバイバルマッチともいえそうです。

　両者は過去に35回対戦し、羽生20勝、広瀬15勝という成績が残されています。

　羽生九段の今年度成績は６勝11敗（勝率0.353）です。

　35年連続勝ち越しという過去の戦績からすれば、今年度前半は不振だったといえるでしょう。しかしここにきて本リーグで２連勝。復調のきざしが見えたきたというところでしょうか。

　広瀬八段は今年度10勝10敗（勝率0.500）です。