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【年度内五冠ロード】藤井聡太三冠(19)今期王将リーグ初戦を制す! 強敵・糸谷哲郎八段(32)に快勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月27日。大阪・関西将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・挑戦者決定リーグ1回戦▲糸谷哲郎八段(32歳)-△藤井聡太三冠(19歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は17時28分に終局。結果は82手で藤井三冠の勝ちとなりました。前期リーグでは初戦から3連敗だった藤井三冠。今期は白星スタートを飾りました。

 黒星スタートの糸谷八段は次戦、9月30日に豊島将之竜王と対戦します。

 藤井三冠は10月4日、広瀬章人八段と対戦します。

 藤井三冠の今年度公式戦成績は29勝6敗(勝率0.829)となりました。

藤井三冠、今日も見せた抜群の強さ

 糸谷八段先手で、戦型は角換わり。糸谷八段は早繰り銀、藤井三冠は腰掛銀という布陣になりました。

 将棋界屈指の早指しの名手として知られる糸谷八段。33手目で長考に入り、そのまま昼食休憩を迎えました。

 40分のインターバルをはさんだあと、対局再開。糸谷八段は盤上中央で銀をぶつけていきます。

 藤井陣には飛金取りに銀を打たれるスキが生じているのが気になるところ。藤井三冠はそれを承知の上で桂を跳ね、攻めていきました。

糸谷「対局中はどうにかなるだろうと思ったら、意外とどうにもならないですか」

 本格的な戦いが始まり、藤井玉はかなり薄くなります。糸谷八段に飛車を持たれてかなり怖いところですが、形勢は銀得の藤井三冠よし。いつもながらに正確な形勢判断が光りました。

 藤井二冠は得した銀を自陣に入れて補強したあと、馬(成角)を切り捨てて桂と刺し違え、決めに行きます。驚いたことに、糸谷玉はきれいな寄り形です。

 82手目。藤井三冠は金で飛車を取ります。これで糸谷玉は受けなし。藤井玉に詰みはありません。糸谷八段が投了を告げ、終局となりました。

 両者の対戦成績はこれで藤井三冠の5戦全勝です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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