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【年度内六冠ロード】藤井聡太三冠(19)負ければ敗退の棋王戦3回戦で斎藤慎太郎八段(28)と対局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月17日10時。大阪・関西将棋会館において第47期棋王戦挑戦者決定トーナメント3回戦▲斎藤慎太郎八段(28歳)-△藤井聡太三冠(19歳)戦が始まりました。

 本局は3回戦。負ければ今期は敗退となります。

 現在の将棋界は渡辺明名人、豊島竜王、藤井三冠、永瀬拓矢王座による「四強」の時代と言われています。

 斎藤八段はその四強に次ぐ筆頭格ともいえる存在で、近年は安定した好成績を残しています。今期棋王挑戦でも有力な挑戦候補の一人。藤井三冠と斎藤八段のどちらかがここで敗退というのは、なんとも厳しいところです。

 棋王戦はベスト4まで勝ち進むと、敗者復活戦に回ることができます。つまりベスト4以上は実質的に、2敗失格システムとなります。

 本局がおこなわれるのは4階・水無瀬の間。5階・御上段の間ではA級順位戦3回戦▲豊島将之竜王(1勝1敗)-△羽生善治九段(1勝1敗)戦という大きな一番もおこなわれています。

 棋王戦本戦では対局開始直前、振り駒によって先後が決められます。記録係が振り駒をした結果、畳の上に表の「歩」が1枚、裏の「と」が4枚出て、先手は斎藤八段と決まりました。

 戦型は角換わりに進んでいます。両者は過去に6回対戦し、最初の1回は矢倉で、そのあとは5回連続で角換わりでした。

 30手目。藤井三冠は6筋の歩をつっかけていきました。前例はあるものの、先に1歩を損するところなので、積極的な動きに見えます。

 藤井三冠は勢いをつけてから素早い桂跳ねで歩を取り返します。対して斎藤八段も37手目、こちらも攻めの桂を跳ねて応戦しました。

 藤井三冠の今年度成績は26勝5敗(勝率0.833)です。

 4日前に叡王位を獲得したのは記憶に新しいところです。藤井新三冠はこれから竜王戦でも挑戦。さらには王将戦、棋王戦と、今年度は最大六冠を獲得できる可能性を残しています。

 トップクラスの棋士の宿命ともいえるハードスケジュールが続く藤井三冠。明日18日にはチーム藤井のリーダーとして、ABEMAトーナメント決勝でチーム木村と戦います。

 斎藤八段の今年度成績は16勝7敗(勝率0.696)です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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