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藤井聡太二冠(19)王将リーグ復帰をかけ稲葉陽八段(33)と対戦 戦型は角換わり早繰り銀

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

「それでは時間になりましたので、稲葉八段の先手番でお願いします」

 8月16日10時。大阪・関西将棋会館において第71期ALSOK杯王将戦・二次予選決勝▲稲葉陽八段(33歳)-△藤井聡太二冠(19歳)戦が始まりました。

 稲葉八段は1988年8月8日生まれ。「8」が4つ続く覚えやすい誕生日です。先日誕生日を迎え、33歳となりました。

 一昨日にも放映されたABEMAトーナメントでは、チーム稲葉のリーダーとして戦いました。

 稲葉八段は少し目を閉じ、気息を整えたあと、初手に飛車先の歩を突きます。

 藤井二冠は2002年7月19日生まれ。現在は19歳です。棋士になってから今年10月でちょうど5年。その間に、山ほどの最年少記録を築いてきました。

 今年度は棋聖を防衛。ここから王位を防衛すれば二冠堅持。いま挑戦中の叡王戦を制すれば史上最年少三冠です。

 さらにはあと1勝で挑戦権獲得の竜王まで獲得すれば四冠。そしてこの王将戦までリーグ入り→挑戦→奪取となれば、五冠となります。

 藤井二冠はいつもの通りお茶を口にしたあと、いつものように飛車の前の歩を一つ進めました。後手番を持った際にはデビュー以来ずっと変わらないスタイル。どんな戦型でも受けて立つという王道の姿勢です。

 進んで戦型は角換わり早繰り銀に進みました。序盤から激しい変化に進む可能性があり、朝から気が抜けない進行です。

 後手の藤井二冠が銀を五段目に進めたタイミングで、稲葉八段は飛車先から継ぎ歩で反撃します。

 35手目。稲葉八段は守りの銀を8筋に引きます。これが前例と違う手。稲葉八段用意の一手なのでしょう。

 藤井二冠は19分考えて、守りの銀を中央に進めました。

 11時20分頃、39手目、稲葉八段は相手の攻めの銀の裏から歩を打ちました。新手である銀引きからの継続手なのでしょう。

 王将戦二次予選の持ち時間は各3時間。昼食休憩をはさんで、通例では夕方頃に終局となります。

直近は稲葉八段勝ち

 両者は過去に5回対戦。稲葉2勝、藤井3勝という成績が残されています。直近のB級1組順位戦では、稲葉八段が勝ちました。

 藤井二冠の今年度成績は20勝4敗(勝率0.833)です。

 稲葉戦の敗戦を含み、全部で4回しか負けていないという驚異的な成績です。

 稲葉八段の今年度成績は8勝7敗(0.533)です。

棋界屈指のスーパーリーグ

 王将戦は将棋界最難関のリーグとも言われています。定員はわずかに7人。うち成績下位3人はリーグから陥落します。新たに狭き3枠に入ることができるのは、二次予選まで勝ち抜いた3人です。

 藤井二冠は過去に王将リーグで2期戦っています。

 前々期は最終局で勝ちを逃し、挑戦権を逸しています。

 前期は出だし3連敗。そこから3連勝と巻き返したものの、リーグ陥落となりました。

 今期は二次予選初戦、石田直裕五段に勝ちました。

 各棋戦でコンスタントに好成績を残している稲葉八段。しかし過去に王将リーグ入りを果たしたことはありません。

 今期は二次予選で斎藤明日斗四段、斎藤慎太郎八段を連破。初めて二次予選決勝に進出しました。

 今期はまず、近藤誠也七段がリーグ入りを決めています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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