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藤井聡太王位に挑戦するのは豊島将之竜王か? 羽生善治九段か? 5月24日、王位戦挑戦者決定戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 若き天才・藤井聡太王位(18歳)への挑戦権を獲得するのは誰か?

 5月24日。大阪・関西将棋会館においてお~いお茶杯第62期王位戦・挑戦者決定戦、豊島将之竜王(31歳)-羽生善治九段(50歳)戦がおこなわれます。

 今期リーグは5月7日に最終戦がおこなわれました。

 紅組では豊島竜王が4勝1敗の好成績をあげ、優勝をはたしています。

 一方の白組は羽生九段が4勝1敗で制しました。

 リーグ参加者12人の誰が挑決に進んでも、それぞれにドラマがあったことでしょう。それでもやはり豊島竜王と羽生九段が藤井王位への挑戦権を争う展開は、劇的と言わざるをえません。

 豊島竜王はこれまで藤井聡太王位に7回戦い、6勝1敗と圧倒しています。

 過去のデータを重視すれば、豊島竜王こそが藤井王位への最強の挑戦者といえそうです。

 羽生九段は藤井王位との対戦では4連敗と押されました。しかし直近の一局では羽生九段が勝利を収めています。

 そして羽生九段は「将棋史上最強」とも讃えられる棋士。「史上最強候補」藤井王位とのタイトル戦の実現は、多くのファンが待ち望んできた夢でした。

 羽生九段の通算タイトル獲得数は前人未到の99期です。

 羽生九段がいつ節目の100期を達成するのかは、ここ数年の将棋界の主要トピックの一つでした。100期目をかけて藤井王位-羽生挑戦者が実現すれば、社会的なフィーバーも巻き起こりそうです。

 羽生九段の100期達成を昨年阻止したのは、豊島竜王でした。

 直近のA級順位戦では歴史的死闘を経て、意外な結末で豊島竜王が勝っています。

 それらの勝負も含めて、過去の対戦成績は羽生九段18勝、豊島竜王22勝です。

 現在は豊島竜王が5連勝中です。直近の対戦成績を考えれば、王位戦挑決は豊島乗りの声が多いかもしれません。

 しかしなんといっても「一度は羽生-藤井聡太のタイトル戦を見たい」という世論の声は圧倒的でしょう。豊島竜王にとっては、アウェイな雰囲気の中での勝負となるかもしれません。

 升田幸三八段と大山康晴七段が高野山で名人挑戦権を争った昔から、タイトル戦の挑戦者決定戦は、数々の名勝負の舞台となってきました。

 最近では渡辺明名人と永瀬拓矢王座が戦った、棋聖戦挑戦者決定戦も名勝負でした。

 そして今期王位戦挑決。羽生九段、豊島竜王、藤井王位の三者の関係を考えれば、こちらもすでに名勝負の条件を満たしていると言ってよさそうです。この歴史的な大一番を見逃す手はありません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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