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剛腕無双・西山朋佳女流三冠(25)激熱の玉頭戦を制して及川拓馬六段(34)を降し棋聖戦一次予選2連勝

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月7日。東京・将棋会館において第93期ヒューリック杯棋聖戦一次予選1回戦▲西山朋佳女流三冠(25歳)-△及川拓馬六段(34)戦がおこなわれました。

 西山女流三冠は本日10時からおこなわれた1回戦で所司和晴七段に勝っています。

 2回戦で待ち受ける及川六段は中堅の実力者。順位戦ではC級1組に所属しています。

 本局は14時開始。1回戦に引き続き先手番を得た西山女流三冠は得意の中飛車を採用しました。居飛車の及川六段は中段に銀を2枚押し出してきます。

 中央で駒がぶつかったあと、及川六段が飛車先から動いてくるのに応じて、西山女流三冠も動いていきます。

 中盤は互いの上部で長い押し引きが続きました。そしてそのまま、終盤戦へと入ります。

「これぞ玉頭戦」と言いたくなるような熱のこもったきわどい攻防が続いた後、及川六段からの攻めに追われながら、西山玉は中段へと上がっていきます。互いの玉が至近距離で接近し、スリリングな最終盤となりました。

 西山女流三冠は豪腕を発揮して相手からの攻めをしのぎ、ついに一手の余裕を得ます。そこで反撃に転じ、一気に勝勢を築きました。

 制空権を握られた及川玉は盤面逆サイドへと逃げ出していきます。最後は逆サイドの端まで移動しました。そこで西山女流三冠が及川玉を即詰みに討ち取って、16時48分、137手で終局となりました。

 西山女流三冠はこれで一次予選ベスト4に進出。後日、準決勝で高野秀行六段と対戦します。

 昨年は一次予選を突破し、二次予選決勝まで進んだ西山女流三冠。今年も旋風を巻き起こすことはできるでしょうか。

 女流棋士やアマチュアが棋聖戦本戦ベスト8にまで進むと、新しくできた規定により、棋士編入試験受験の資格を得ます。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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