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藤井聡太棋聖へのリベンジマッチを目指す渡辺明名人、棋聖戦準々決勝で新鋭・出口若武五段と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月26日10時。東京・将棋会館において第92期ヒューリック杯棋聖戦準々決勝、渡辺明名人(36歳)-出口若武五段(25歳)戦が始まりました。

 渡辺名人は前期の棋聖戦五番勝負で藤井聡太挑戦者に3勝1敗で敗れ、棋聖位を失っています。今期はそのリベンジマッチを目指す立場。本戦1回戦では斎藤慎太郎八段に勝ちました。

 渡辺名人はこの年度末、王将戦と棋王戦で立て続けに防衛し、第一人者の貫禄を示しました。

 渡辺名人の今期成績は25勝15敗(勝率0.6250)。直近では2日前、竜王戦2組準決勝で敗れています。

 出口新五段はC級2組からC級1組への昇級を決めるなど、今年度は目覚ましい活躍を見せました。年度成績は32勝10敗(勝率0.762)。勝率は全棋士中2位です。

 勝率1位は4年連続で勝率8割を達成した藤井聡太棋聖。出口五段の勝率0.762は、藤井棋聖が登場する前の将棋界であれば、1位であってもなんらおかしくありません。

 振り駒の結果、本局の先手番は出口五段に。戦型は角換わり腰掛銀に進みました。互いに間合いをはかりあったあと、後手の渡辺名人から仕掛けていきます。

 62手目、渡辺名人が端から攻めて歩を垂らした局面で12時、昼食休憩に入りました。

 棋聖戦の持ち時間は各4時間。夕食休憩はなく、通例では夕方から夜にかけての終局となります。

 延期となっていた1回戦・久保利明九段-佐藤天彦九段戦は明日27日におこなわれます。

 また明日は第4回ABEMAトーナメントのドラフト会議も放映されます。

 4月からは名人戦七番勝負も始まり、将棋ファンにとっては忙しい春となりそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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