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棋王戦五番勝負第3局▲渡辺明棋王(36歳)ー△糸谷哲郎八段(32歳)戦始まる 戦型は横歩取り

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 3月7日9時。新潟市・新潟グランドホテルにおいて棋王戦五番勝負第3局▲渡辺明棋王(36歳)ー△糸谷哲郎八段(32歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 第1局は糸谷八段、第2局は渡辺棋王の勝ちでした。

 互いにやや不利な後手番で勝って迎えた第3局。先手は渡辺棋王です。

 本局、立会人を務めるのは青野照市九段(68歳)。将棋界の現役棋士としては、桐山清澄九段(73歳)に次いで2番目に年長の大ベテランです。

 9時。立会人の青野九段が声をかけます。

「定刻になりましたので、渡辺棋王の先手番で始めてください」

 両対局者は一礼して第3局が始まりました。

 渡辺棋王は初手、飛車先2筋の歩を突きます。対して糸谷八段は2手目、3筋の歩を前に進め、角筋を開きました。

 渡辺棋王も角筋を開いての4手目。まずはここが注目ポイントです。

 後手番の糸谷八段はこれまで基本的に「一手損角換わり」をエース戦法として採用し続けてきました。

 しかし今シリーズ第1局ではそうせずに角筋を止め、雁木に組んでいます。そして本局では飛車先の歩を伸ばし、横歩取りへと誘導しました。これは意外な選択です。渡辺棋王はどこまで想定していたでしょうか。

 渡辺棋王は「青野流」を採用しました。これは立会人の青野九段の名にちなむ、先手の有力な作戦です。一気に激しくなる変化も含まれ、序盤から目が離せない展開となりました。

 時刻は10時を過ぎました。現在は糸谷八段が26手目を考慮中です。

 渡辺棋王の今年度成績は21勝14敗(勝率0.600)。

 直近の対局では王将戦七番勝負第5局で永瀬拓矢王座に敗れています。

 糸谷八段の今年度成績は26勝16敗(0.619)。直近では王座戦二次予選で西田拓也五段に敗れています。

 糸谷八段と西田五段は同じ森信雄七段門下。昨日6日におこなわれた三段リーグ最終戦の結果、森門下の高田明浩三段が四段昇段を決めています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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