Yahoo!ニュース

A級1期目・斎藤慎太郎八段(27)名人初挑戦決まるか? 上位陣が追い上げるか? 2月3日、A級8回戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月3日。大阪、東京の将棋会館にわかれてA級順位戦8回戦、全5局が一斉におこなわれます。

 7回戦終了時点で、名人挑戦権争いは斎藤慎太郎八段(6勝1敗)、豊島将之竜王(5勝2敗)、広瀬章人八段(5勝2敗)、佐藤天彦九段(4勝3敗)の4人にしぼられました。

 もし8回戦で斎藤八段が勝ち、豊島竜王、広瀬八段が敗れると、斎藤八段の名人挑戦が決まります。

 最終戦を終えた段階で成績上位者が複数人並べばプレーオフ(パラマス式トーナメント)。6勝3敗で4人プレーオフになる可能性まであります。

 各局のポイントを見ていきましょう。

△斎藤慎太郎八段(6勝1敗)-▲稲葉陽八段(2勝5敗)

 A級1期目にして名人挑戦権争いトップを走る斎藤八段。残る2戦を2勝すれば無条件で名人挑戦が決まります。

 一方で稲葉八段は2015年度、A級1期目で8勝1敗の好成績をあげ、名人戦七番勝負に登場したこともある実力者です。しかし今期は成績が振るわず、現在は陥落のピンチに立たされています。

 両者は過去に4回対戦し、斎藤八段2連勝のあと、稲葉八段2連勝の五分です。

▲豊島将之竜王(5勝2敗)-△佐藤康光九段(3勝4敗)

 前期名人戦七番勝負で渡辺明挑戦者(現名人)に敗れ名人位を失った豊島竜王。リターンマッチはなるでしょうか。

 佐藤康光九段は名人2期を含めA級通算24期の大豪。現在は残留を目指しての戦いです。

 両者は過去に17回対戦し、豊島竜王10勝、佐藤九段7勝。現在は豊島竜王が4連勝中です。

△広瀬章人八段(5勝2敗)-▲羽生善治九段(3勝4敗)

 竜王1期、王位1期の経験がある広瀬八段。名人戦七番勝負にはまだ登場したことがありません。

 羽生九段は名人9期を含めA級以上通算28期。今期は現在、残留を目指しての戦いとなっていますが、前節で稲葉陽八段との2勝4敗対決を制して、A級29期目に近づきつつあります。

 両者は過去に34回対戦して、広瀬八段14勝、羽生九段20勝。今年度王将戦リーグでは羽生九段が勝っています。

▲佐藤天彦九段(4勝3敗)-△糸谷哲郎八段(3勝4敗)

 佐藤天彦九段は名人位3期。20世名人に最も近い位置にいます。最終戦で斎藤八段との直接対決を残し、まだ名人挑戦の可能性もなくなっていません。

 糸谷八段は残留を目指しての戦いです。

 関西奨励会時代からしのぎを削り合ってきた両者。過去の公式戦対戦成績は佐藤九段5勝、糸谷八段7勝です。

▲菅井竜也八段(3勝4敗)-△三浦弘行九段(1勝6敗)

 菅井八段は斎藤八段と同じくA級1期目。現在は残留を目指しての戦いです。

 A級19期を誇る三浦九段は大変に苦しい状況。残留するには残り2連勝するよりありません。しかし過去には何度もギリギリの状況で残留を勝ち得てきた実績があります。土壇場で本領発揮となるでしょうか。

 両者は過去に4回対戦し、三浦九段1勝のあと、菅井八段が3連勝しています。

 A級順位戦の持ち時間は各6時間(ストップウォッチ方式で一手60秒未満切り捨て)。対局は朝10時に始まり、昼食、夕食休憩をはさんで、通例では夜遅くに決着します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

松本博文の最近の記事