将棋は夜更け過ぎに千日手指し直し! 終局は未明の午前3時43分! 木村一基九段が行方尚史九段に勝利
12月24日。東京・将棋会館においてB級1組順位戦10回戦、木村一基九段(47歳)-行方尚史九段(46歳)戦がおこなわれました。
朝10時に始まった対局は深夜0時7分、97手で千日手が成立しました。
指し直し局は0時37分に始まり、未明3時43分、107手で木村九段の勝ちとなりました。
リーグ成績は木村九段5勝4敗、行方九段2勝7敗となりました。
0時7分、千日手成立
B級1組は東西の将棋会館にわかれ、6局がいっせいにおこなわれます。持ち時間は各6時間。朝10時に始まる戦いは深夜にまで及び、日付が変わって決着することもしばしばです。
▲行方-△木村戦は矢倉模様の立ち上がり。木村九段は飛車先の歩の交換を許し、さらには横歩を取るかと誘います。行方九段はその誘いに乗りました。
中盤の攻防を経て、木村九段は飛角交換の戦果をあげるなどして優位に立ちます。
木村九段、行方九段は1973年生まれの同学年。そして両者ともに非常に粘り強いという共通点もあります。
苦しくなった行方九段。自陣一段目に底歩を打ちつけるなどして粘りに出ました。
駒得を拡大する木村九段。しかし行方九段も反撃して勝負形に持ち込みました。
84手目。木村九段は千日手を打開するかどうかの選択を迫られます。残り時間は行方4分、木村6分。
木村九段は1分を使って、千日手やむなしと判断しました。木村九段が飛を逃げ、行方九段がと金で追いかける手順が繰り返されます。
そして日付が変わった0時7分。97手目で同一局面4回目を迎え、規定により千日手が成立しました。残り時間は行方4分、木村5分でした。
指し直し局は規定により30分後に始まります。
0時37分、指し直し局開始
順位戦では何度千日手、持将棋で引き分けになろうとも、勝敗がつくまで指し直しがおこなわれます。
指し直し局の持ち時間は残り時間の少ない方が1時間となるように設定されます。本局の場合は行方九段の残り時間4分に56分を足して1時間に。木村九段にも同じ時間を足して1時間1分とします。
また先後は入れ替えられます。
0時37分、指し直し局▲木村-△行方戦が開始されました。木村九段先手で、戦型は相掛かりへと進みます。
他の対局で一番最後に終わったのは昇級レースのトップを争う▲永瀬拓矢王座-△山崎隆之八段戦でした。結果は0時55分、166手で山崎八段が勝っています。
3時43分、指し直し局終了
残り時間の短い指し直し局ですが、両者ともに序中盤で時間を使って考えます。50手を過ぎて駒がぶつかる頃には、互いに半分ほどの時間になっていました。
行方九段は桂を跳ね出して動いてきます。対して木村九段は守りの桂を強くぶつけて応じました。
行方九段は桂を打って攻めていきます。対して木村九段はリスクを承知の上で、強くその桂を取りにいきました。
行方九段は金を打って相手の飛車を取りに行きます。対して木村九段は飛車を逃げず、桂を打って相手の飛車を取りに行きました。
形勢はほぼ互角のまま、見応え十分の攻防が続いていきました。
88手目。行方九段は自陣に角を打って木村玉に王手をかけました。残り時間は木村9分、行方1分。
木村九段はノータイムで、合駒として歩頭に桂を打ちます。この捨て駒が好手でした。桂を取らせる間に手をかせいで行方玉に迫り、さらには行方九段の角を封じ込めることに成功しました。
103手目、木村九段は桂で銀を取りながら、行方玉に迫ります。粘りが身上の行方九段も手段が尽き、ここで投了となりました。
終局は未明の午前3時43分でした。
木村九段は勝ってA級昇級の可能性を残しました。
逆に敗れた行方九段は残留に向け、年明けからの3戦、厳しい状況が続くことになりそうです。