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羽生善治九段(50)-佐藤康光九段(51)164回目の対戦始まる A級順位戦5回戦

松本博文将棋ライター
(記事中の写真撮影・画像作成:筆者)

 11月23日10時。東京・将棋会館において▲羽生善治九段(50歳)-△佐藤康光九段(51歳)戦が始まりました。

 羽生九段は今期A級、ここまで1勝3敗。前節では斎藤慎太郎八段に敗れています。

 A級1期目の斎藤八段は4連勝。それを追いかけているのが3勝1敗の佐藤九段です。

 羽生九段と佐藤九段はこれまでに163回対戦。これは同一カードとしては歴代4位の記録です。

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 結果は羽生九段108勝、佐藤九段55勝という成績が残されています。

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 今年度は豊島将之竜王と永瀬拓矢王座がすでに11局戦っていることが話題となっています。過去には2005年度、羽生-佐藤康光で年間23局対戦したという記録もあります。

 今年度成績は、羽生九段は14勝12敗(勝率0.538)です。

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 体調不良で入院していた羽生九段は、そのコンディションが心配されるところです。王将戦リーグが終わり、順位戦、そして竜王戦七番勝負と、ハードスケジュールが続いていきます。

 佐藤康光九段は今年度7勝8敗(勝率0.467)。昨日は将棋連盟会長として、将棋日本シリーズ・JTプロ公式戦の表彰式に出席していました。激務が続く中での対局となります。

 本日は「勤労感謝の日」で3連休の最終日。休日にA級順位戦の手合がつくのは、対局者が多忙であることを示していると言えそうです。

 定刻10時、対局開始。羽生九段は初手、角道を開けました。

 対して佐藤九段はまず瞑想をします。時間を使うこと4分。佐藤九段もまた、角筋を通しました。

 自身は「本格正統派」と称するものの、一般的には独創的と見られる佐藤九段。まずはその序盤戦術が注目されます。本局では5筋の歩を突いたあと、角筋をオープンにしたまま、三間飛車に振りました。そして「二手損向かい飛車」へとスイッチします。

 羽生九段は、相手が受けない端9筋を詰めました。佐藤九段はどのような玉形に構えるのか。その構想が注目されます。

 21手目、羽生九段が5筋の歩を突いたのに対して、佐藤九段は早くも長考の姿勢です。

 大山康晴15世名人(1923-92)が会長職を務めていた頃。記録上、時間を多く使ったというところでは、実は席をはずして公務をこなしていたことが多かったそうです。

 佐藤九段は席を離れず、じっと座ったまま考え続けます。

 12時、そのまま昼食休憩に入りました。

 A級順位戦の持ち時間は各6時間(60秒未満切り捨てのストップウォッチ方式)。昼食休憩、夕食休憩をはさんで、通例では夜遅くに決着します。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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