千日手マスター永瀬拓矢王座(28)からの誘いに応じず久保利明九段(45)局面打開 王座戦第2局
9月9日。京都市・ウェスティン都ホテル京都において第68期王座戦五番勝負第2局▲久保利明九段(45歳)-△永瀬拓矢王座(28歳)戦がおこなわれています。
先手・久保九段の作戦は5筋位取り中飛車。
対して永瀬王座は角を上がって持久戦調。穴熊へ組む含みもあります。
久保九段は美濃囲いに組む前に、3筋、4筋と自玉上部の歩を突いて穴熊をけん制します。ならばと永瀬王座は穴熊に組まず、4筋に金2枚を縦に並べる構え。早くも定跡形からははずれた序盤戦となりました。
そして永瀬王座は棒銀に出ます。対振り飛車での棒銀はいささかクラシカルな感じもします。しかし将棋は温故知新。昔に見た形が、新たな意味合いを得て再び見られることはよくあります。
一般的に棒銀は、五段目にまで進めることができれば一応の成功といえます。永瀬王座は銀の前進を果たしました。
一方で久保九段は端に角を出て、永瀬陣の死角に成り込み、馬を作ります。形勢はほぼ互角のようです。
40手目。永瀬王座が8筋の歩を突いて攻めの継続をはかったところで、12時10分、昼食休憩に入りました。
昼食は永瀬王座がうな重、久保九段が海老天重。この組み合わせは偶然ながら、棋聖戦第2局・渡辺明棋聖-藤井聡太七段戦(肩書は当時)の時と同じです。
13時、対局再開。久保九段は馬を寄って永瀬王座の飛を追いかけます。久保九段としては、この馬がどれだけ活躍できるか。永瀬王座は馬の利きをかいくぐりながら、飛をさばきたい。
進んで久保九段は馬、永瀬王座は飛を動かし合う千日手が現実的になります。コンピュータ将棋ソフトは千日手を最善と判断していました。永瀬王座といえば「千日手王」としても知られます。
第1局では永瀬王座先手で千日手模様となり、巧みに打開した永瀬王座がリードを奪いました。
本局では後手番の永瀬王座。千日手辞さずの動きです。
対して先手番の久保九段。千日手は選ばず、4筋に転換した飛車をバックに、歩を突き上げていきました。ここがぶつかると、もう千日手にはなりづらいようです。
時刻は14時半を過ぎました。半袖シャツ姿の永瀬王座はしきりに身体を動かしながら、前かがみになって考えています。