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史上最年少&17世名人・谷川浩司九段(58)最年少名人候補・藤井聡太二冠(18)B級2組4回戦で対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月9日10時。大阪・関西将棋会館においてB級2組4回戦▲谷川浩司九段(58歳)-△藤井聡太二冠(18歳)戦が始まりました。

 数々の輝かしい実績を残してきた17世名人資格者と、誰もが認める名人候補。注目の対戦はB級2組で実現しました。

 谷川九段は今期B級2組では1勝2敗。2回戦では藤井二冠の師匠である杉本昌隆八段に逆転勝ちを収めています。

 藤井二冠はC級1組では1期足踏みをしたものの、前期は昇級を果たし、今期からはB級2組に所属しています。開幕からの成績は3勝0敗。順位戦通算成績は32勝1敗とおそるべき勢いで勝ち進んでいます。

 谷川九段は名人戦・順位戦においてA級以上32期(歴代3位)、名人位5期(17世名人資格獲得)などの実績を残しています。

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 谷川九段は前期までB級1組に所属するも降級。今期は1980年度以来、40期ぶりのB級2組所属となります。

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 1980年度昇降級リーグ2組(現在の順位戦B級2組)においては、谷川六段(当時)は10連勝で駆け抜けています。またその際には順位戦18連勝の記録も作っています。

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 谷川九段は19歳の時に名人戦挑戦者決定リーグ(現在の順位戦A級)に昇級。1期目で名人挑戦権を獲得し、1983年度名人戦七番勝負に登場。加藤一二三名人(当時)に挑戦して4勝2敗でシリーズを制し、史上最年少21歳で名人位を獲得しています。

 藤井二冠自身は一貫して、各種年少記録に関してはほとんど興味がないようです。それでももし藤井二冠が史上最年少名人の記録を更新しようとすると、この先ノンストップでA級に昇級し、名人挑戦権を獲得する必要があります。

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 藤井二冠と谷川九段は昨年2019年、王将戦二次予選決勝で対局しています。藤井七段(先手)で谷川九段が角換わりにせず、互いに雁木となりました。結果は57手の短手数で藤井七段が勝っています。

 兵庫県在住の谷川九段、愛知県在住の藤井二冠、いずれも関西の所属。本局は関西将棋会館5階・御上段(おんじょうだん)の間でおこなわれます。

 朝9時40分頃、谷川九段入室。現在の順位戦の順位や、過去の実績を比べれば、谷川九段が格上です。ただし現在の席次は現役タイトルホルダーの藤井二冠が上です。

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 谷川九段は将棋界の一般的なルールにしたがって、下座に着きました。

 しばらくして藤井二冠入室。床の間を背にして、上座に着きました。

「それでは時間になりましたので、谷川先生の先手番でお願いします」

 定刻10時。記録係が声をかけ両対局者一礼。対局が始まりました。

 谷川九段は初手に角道を開けます。

 対して藤井二冠はお茶を一服したあと、飛車先の歩を突きます。

 戦型は谷川九段得意の角換わり腰掛銀模様に進みました。10時半の時点では27手目、谷川九段が飛車を一段目に引いたところまで進んでいます。

 B級2組の持ち時間は各6時間(チェスクロック使用)。昼食休憩、夕食休憩をはさんで、通例では夜遅くに終局となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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