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「4連勝という結果は望外」「実力以上の結果が出た」藤井聡太新王位、王位戦第4局終了後コメント全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太新王位「(相掛かりの序盤で)▲2五飛車から▲1五歩(端攻め)と積極的に動かれて・・・。そこでこちらがどうバランスを取ればいいのか、ちょっと難しいのかなというふうに思いました。(封じ手の△8七同飛成のあたりは)少し苦しいのかなと思って。▲8七銀に(飛車を切らずに逃げて)△2六飛車だと▲2七歩と打たれて、ちょっと飛車がはたらかなくなってしまうので、△同飛車成で勝負しようかなというふうに思いました。△3三角(飛香両取り)のあとに本譜の△8六歩(金取り)から△8八歩(桂取り)という攻め筋があるので、なんとかこちらにも楽しみが出てきたところはあるような気がしました。(と金を拠点に王手の)△7九角から(香を取る)△9九と、として・・・。難しいですけど、攻めがつながる形に見えてきたような気がしました。最後、こちらの玉がかなり怖い形が続いたのでわからなかったんですけど・・・。▲4二飛車に△7一玉と引いて、なんとか一手勝ちの形なのかなあ、と思いました。(七番勝負を振り返って)自分にとって初めての2日制の対局でしたし、その中で自分としてもいろいろ得るものがあったのかなと思います。内容的にはもう、押されている将棋が多かったと思うので・・・。そうですね、4連勝という結果は望外というか、自分の実力以上の結果が出たのかな、という気がします。(王位獲得の率直な気持ちは?)それについてはまだあまり実感がないところではあるんですけど・・・。やはり今回七番勝負でいろいろいい経験ができたかなと思うので、それを活かせるように引き続きがんばっていきたいというふうに思います。(最年少二冠と最年少八段については?)それについてはまったく、対局に臨むにあたっては意識していなかったことではあるんですけど・・・。棋聖戦と王位戦という、今年は2つのタイトル戦に出ることができて、その中で結果を残すことができたというのは収穫だったのかなあ、というふうに思っています。(戦った4局の中で一番大きな勝利は?)第2局は中盤から終盤まで常に苦しい形勢が続いていたので、そこを勝つことができたのは結果的に大きかったのかなあ、というふうには思います。(木村王位の印象は)木村王位は攻守ともに力強い手が多いという印象でしたけど。指してみてこちらの読みにない好手を指されるという場面もとても多かったので、勉強になったシリーズだったかなあ、というふうに思っています」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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