Yahoo!ニュース

藤井聡太挑戦者「負けにしてしまったのかもしれない」王位戦七番勝負第3局終局後コメント全文

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

藤井聡太挑戦者「(先手番、戦型は矢倉で)早囲いを目指す感じでやろうかなと思っていたんですけど、ちょっとそのあとの手の組み合わせがまずくて、少し序盤は失敗したのかなと思ってました。(封じ手のあとは)なかなかこちらから動く形がなくて、後手から端攻めのようなねらいができてしまってるので。自信のない展開かなと思ってました。(先攻してからは)後手玉が金銀4枚で堅いので。途中から手の調子はいいのかなと思ったんですけど。ただ、受けられてみると大変なのかな、という気がしました。(攻め続ける形となり)大変か、手順に桂がさばけたので、流れはいいのかなと思ったんですけど。そのあと(87手目)▲3四歩と打ったのがやり過ぎだったかもしれないですね。(△6二銀と)受けられたときに少し手がわからなくなってしまったんで。(▲3四歩△同銀の交換を入れず)単に▲1五角の方が自然だったかもしれません。(△6二銀と辛抱されたところは)具体的に手があればという局面だったんですけど、ちょっと見えなかったので。本譜だと仕切り直しという感じなのかなと思いました。(終盤は)少し寄せにいったところで誤算があって。そのあと、負けにしてしまったのかもしれないな、というふうには思ってました。(121手目▲2一銀打で)△2二玉と(銀を)取られてから△2三玉と上がられて寄りがないと少し見落としてしまって、そこで厳しくなってしまったかなと思いました。(139手目)▲4二銀から▲4九飛と回って、桂か香1枚、手に入る形になったので、少し好転したのかなと思いました。(次局に向けて)これまでの将棋の内容をしっかり反省して、第4局にいい将棋が指せるようにしたいと思います。(第3局でなにかいい経験はしたか?)今回、今日の対局は途中までかなりじりじりとした展開が続いて。そういった展開の中で木村先生の指し手の力強さというのは非常に感じました」

木村一基王位「ちょっと封じ手のところ(▲2四歩△同歩▲同角と)歩を交換されたので、損しちゃったなと思ってました。損したものはしょうがないんで、なんとなくこう、じりじりとした感じの展開に持ってければなあ、というふうにねらってはいたんですけど。(藤井挑戦者が)仕掛けて(63手目)▲5九角引いた構想は秀逸だったと思います。ちょっと一方的な、まあ、待つ展開だったからしょうがないんですけど、ちょっと攻められっぱなしになっちゃったので、つまらない展開にしてしまったかなと。(△6二銀の粘りは)まあ・・・『あきらめちゃいけないな』と思ってやったんですけど、まあちょっとあそこではつらい展開でしたかね。(最後は難しくなったようだが)そうでしたか。いや、ちょっとつらいのかなとか思ってましたので。そうですか。もしチャンスがあったとしたら、ちょっとよくなかったですかね。(次局に向けて)あとがなくなりましたけど、いつも通り、せいいっぱい指したいと思います。(どのあたりで藤井棋聖に勢いを感じたか?)うーん。ちょっと難しいですね(苦笑)。なんとも言いようがないんですけど。しっかり指されたなというふうに感じましたけど」

感想戦

藤井「(128手目△3三銀の代わりに)△1三銀打たれたら・・・」

木村「△1三銀! そうなのか・・・。へえ・・・。ここでですか・・・。そうですか・・・。こっちか・・・!」

藤井「やっぱり△4五歩(の金取りを)間に合わされそうで」

木村「そうか・・・。ああ、これは(△1三銀と)指さなくてはいけませんでしたね。なるほど。これ、いい勝負ですか」

淡路「コンピュータが出してたんで」

藤井「(4六)金取られちゃうんでは・・・」

木村「勝ちかもしんない?」

藤井「そうですね」

淡路「忙しいよね」

藤井「手が見えなかったんで・・・」

木村「そうか・・・」

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

松本博文の最近の記事