久保利明九段(44)王座戦挑決の大一番に四間飛車で臨む 渡辺明二冠(36)は居飛車銀冠で対抗
8月3日9時。東京・将棋会館において第68期王座戦挑戦者決定戦、渡辺明二冠(36歳)-久保利明九段(44歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。
久保九段はデビュー以来1257局を戦い、770勝487勝(0.6125)。タイトル獲得は王将4期、棋王3期の通算7期です。2010年の棋王戦五番勝負では渡辺竜王(当時)の挑戦を3勝1敗で退け、棋王戦3連覇を達成しています。
王座戦では2001年、2007年に羽生善治王座(当時)に挑戦しました。
久保九段の挑戦は、いずれも羽生王座の堅塁の前に退けられています。
将棋界では「空前にして絶後」と思われる記録がいくつかあります。羽生現九段の同一タイトル戦(王座戦)19連覇、通算24期もその一つでしょう。いかに新時代の天才・藤井聡太棋聖であっても、その記録を塗り替えるのは至難のことと思われます。
渡辺二冠の通算成績は663勝336敗(0.6636)。現在までに公表されている記録上では、本局は通算1000局目となります。
タイトル獲得は竜王11期、棋王8期、王将4期、棋聖1期、そして王座1期の合計25期です。
渡辺二冠のタイトル戦登場は34回。その最初は、2003年の王座戦五番勝負でした。
渡辺五段(当時)は五番勝負で羽生王座を相手に健闘したものの、この時は2勝3敗(1千日手)で敗退となりました。
とはいえ、19歳4か月での五番勝負登場は「王座戦史上最年少」として燦然と残る記録です。
来年、藤井棋聖が王座挑戦権を獲得すれば記録更新となります。しかしもしそうでなければ、渡辺五段の記録は「空前絶後」として、今後も残り続けるかもしれません。
本局がおこなわれるのは東京で、関西所属の久保九段にとっては遠征となります。
対局に先立つ振り駒では、渡辺二冠が先手番を得ました。
将棋会館での対局は通常、10時から始まることが多いのですが、王座戦挑決は9時開始です。
渡辺二冠は初手、飛車先の歩を突きました。対して久保九段は角道を開けます。両者の過去の対戦ではすべて久保九段の振り飛車。まずは飛車がどの筋に移動するのかが注目されます。
2011年の王座戦挑決では後手久保二冠(当時)は中飛車。相穴熊から渡辺竜王(当時)が仕掛けてリードを奪い、差を広げての快勝となりました。
渡辺二冠が3手目、角道を開けたところまで進んで報道陣は退出。渡辺二冠は上着を脱ぎ、ノーネクタイの半袖シャツ姿となりました。横には飲み物が入れられた、大きなクーラーバッグが置かれています。
14手目。久保九段は飛車を4筋に振りました。四間飛車です。
居飛車側としては穴熊も考えられそうなところ、本局では渡辺二冠は左美濃を選びました。そして銀冠へと組み替えています。
かつては穴熊を多く採用していた渡辺二冠ですが、最近ではすっかりそのスタイルから脱却しています。
対して久保九段は美濃囲いではなく、玉を7筋に置いたまま、銀を8筋に上がりました。こちらも現代振り飛車最前線と言える形です。
時刻は11時半。36手目まで進んだ局面を前にして、渡辺二冠は考えています。
王座戦挑戦者決定戦は持ち時間5時間。昼食休憩、夕食休憩をはさんで、通例では夜に終局となります。