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英春流正統伝承者・野原未蘭さん(16)倉敷藤花戦ベスト8入りを果たし女流棋士2級資格獲得

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成、写真撮影:筆者)

 7月29日。大阪・関西将棋会館において第28期大山名人杯倉敷藤花戦▲室田伊緒女流二段(31歳)-△野原未蘭アマ戦(16)がおこなわれました。10時に始まった対局は13時38分に終局。結果は84手で野原アマの快勝となりました。

 規定では、女性アマは倉敷藤花戦でベスト8に入ると、女流棋士2級の資格を得ることができます。野原さんはかねてよりプロ入りの意思を表明しており、女流棋士の仲間入りを果たすことになります。

 野原さんは富山県出身。石川県に住む伝説のアマ強豪・鈴木英春さんの指導を受け、女性のトップアマとなりました。その師弟の物語はテレビ番組でも取り上げられています。

 野原さんは鈴木さんが編み出した独自の作戦を伝授され、女性アマ大会で数々の実績を築いてきました。

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 また2018年には中学生名人戦で並み居る男子強豪を連破し、女子として史上初めて優勝を飾りました。

 野原さんの実力はすでに、ファンや関係者の間では広く知られており、大物ルーキーが、満を持して女流棋士となった感があります。

 現在は里見香奈倉敷藤花(28歳、女流四冠)と西山朋佳女流三冠(25歳、奨励会三段)の2強時代と呼ばれる女性棋界。今後は野原さんのような新人が、どれほど迫っていくことになるのでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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