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「やっぱりちょっとすごい人が出てきたなっていう感じ」渡辺明前棋聖、終局直後インタビュー全文まとめ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

渡辺明前棋聖「(本局を振り返って)2局目の類型で予定だったんですけど。うーん、そうですね、えーっと・・・。(△8六歩▲同歩△9四桂と)8筋から攻められたのと(62手目)△4六歩突かれて、そのあたりの揺さぶりというか。なんか、広く揺さぶられて、そのあたりで形勢を損ねたのかな、というか。具体的には(66手目)△2六金(と桂を)取られたところで『ちょっとまずくしてるんじゃないか』っていう気がしたんですけど。ちょっとわかんなかったですね。(▲9六歩△1四歩の端歩の突き合いから3筋の突き捨ては)2局目の改良としては予定だったんですけど。ただそうですね、その後はちょっとわかんなかったですね。(右辺で△4六歩と突き出されて)ちょっと左側っていうか、7筋から9筋あたりの攻防、そっち見てたんで。それで逆側に来られて、ちょっとそうですね・・・。いろいろ読めてない手が出てきちゃったかなっていうか。そのあたりから。(中盤以降、指せているという感じは?)部分的に左側は受かったんで(60手目△8六桂に)▲6八金(左)と逃げたあたり。左が受かったんで、指せてるのかなと思ったんですけど、ちょっとそれで右側との兼ね合いが・・・。そのあたりちょっと、△4六歩、△2五金みたいになって。なんか左側が受かってればいいという問題じゃなくなってきて。そのあたりからちょっとわからなかったです。(棋聖防衛できなかった点について)すぐに取られてしまったというのはまあ、残念なところですけども。えー・・・。まあそうですね、でも全体としては競った将棋で負けてるんで、まあ、仕方がない結果かな、とは思います。(藤井七段と五番勝負を戦っての感想は)やっぱり中終盤の競ったところで勝てなかったんで。うーん、やっぱりそこの、中終盤の指し回しっていうのはちょっと、こっちが気づいてない手が多かったですね。(注目された五番勝負だったが)対局に入ってしまえば普段と変わりなかったかなっていうところはありますけど。まあ、注目度は高かったんで、それはやりがいとしては感じてたんですけども、はい。(タイトル戦で歳下の棋士に敗退は初めてだが)今回そうですね、藤井さんとは初めての番勝負ということで。・・・まあそうですね、内容的にも、ちょっと競ったところで負けてるんで・・・。やっぱりちょっとすごい人が出てきたな、っていう感じですかね」

【追記】渡辺前棋聖は自身のブログで本局を振り返っています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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