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西山朋佳女流三冠(24)若手強豪・青嶋未来六段(25)に勝って新人王戦ベスト8進出

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 6月23日。東京・将棋会館において新人王戦3回戦▲西山朋佳女流三冠(24歳)-△青嶋未来六段(25)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は17時23分に終局。結果は121手で西山女流三冠の勝ちとなりました。

 西山女流三冠はこれでベスト8進出。次戦では齊藤優希三段と対戦します。

西山女流三冠、正確に一手勝ちを読み切る

 西山さんの正式な立場は奨励会三段です。前期三段リーグは14勝4敗の好成績をあげながら、惜しくも次点で昇級には届きませんでした。

 6月20日に開幕した今期三段リーグは、初日1勝1敗でのスタートとなりました。全18回戦の長丁場はまだ始まったばかりです。コロナ禍の影響で開幕が遅れたため、その分最終日の9月26日まで、日程はタイトとなります。

 西山さんは女流タイトルホルダーの立場として、プロ公式戦に参加しています。竜王戦6組ではあともう1勝で5組昇級というところまで勝ち進みました。

 新人王戦では初戦(2回戦)で長谷部浩平四段に勝っています。

 3回戦では強敵の青嶋未来六段との対戦となりました。青嶋六段は6月16日に勝数規定で昇段したばかり。2015年に20歳で四段に昇段し、1期でC級2組を通過。2017年には王座戦で挑戦者決定戦まで勝ち進むなどの実績を残しています。

 現在おこなわれているAbemaTVトーナメントにもドラフトで選ばれて出場しています。

 本局は振り駒の結果、先手は西山女流三冠と決まりました。振り飛車党の西山女流三冠。初手にさっそうと三間飛車に振りました。

 青嶋六段が居飛車穴熊に組もうとするのに対して、西山女流三冠は攻めの銀を前線に押し出していく作戦です。

 角交換から戦いが始まり、力のこもった中盤戦を経て、寄せ合いの終盤戦を迎えます。西山女流三冠はばっさりと角を切り捨て、穴熊玉に迫ります。

 きわどい一手争い。途中で西山女流三冠は最善の寄せは逃したようですが、正確に読んで一手の余裕を得ます。

 最後は、西山女流三冠が自玉で青嶋六段の攻めの桂を取った手が、詰めろ逃れの詰めろに。二十数手にも及ぶ青嶋玉の詰みを読み切って、見事に強敵を降しました。

 西山女流三冠は奨励会三段ではありますが、新人王戦では女流タイトルホルダーの資格で出場しています。優勝した場合に三段リーグの次点が付与され、四段昇段(フリークラス入り)できるかどうかは、今後正式な発表があるのでしょう。無論、今期三段リーグですっきり昇段する可能性ももちろん高そうです。

 今期新人王戦。西山女流三冠の反対側の山でも、前期優勝の高野智史五段をはじめ、増田康宏六段、佐々木大地五段、本田奎五段といった若手強豪が敗れ、波乱の様相を呈しています。

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将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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