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王座通算24期のレジェンド羽生善治九段(49)5月21日に今期本戦1回戦で飯島栄治七段(40)と対戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月21日。東京・将棋会館において第68期王座戦挑戦者決定トーナメント(本戦)1回戦・羽生善治九段(49歳)-△飯島栄治七段(40歳)戦がおこなわれます。

 羽生九段は過去に王座通算24期と、圧倒的な実績を誇ります。前期の王座戦本戦では羽生九段は、本戦準決勝で豊島将之名人と対戦し敗れています。

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 飯島七段は今期、二次予選で佐藤秀司七段、深浦康市九段、千田翔太七段と強敵を連破して本戦に勝ち上がっています。

 羽生九段と飯島七段の過去の対戦成績は、羽生3勝、飯島1勝。

 2007年銀河戦決勝トーナメント2回戦▲羽生銀河(三冠)-△飯島五段戦(肩書はいずれも当時)の棋譜は現在でも公式ページで見ることができます。

 戦型は角換わり腰掛銀で当時の流行形。先手の羽生銀河が先攻して激しい攻め合いとなりました。

 74手目。羽生銀河は▲1一角と相手陣に打ち込みました。筆者手元のソフトの見解では、代わりに▲7一角と受けによく利いている飛車を攻めれば、羽生銀河が依然優勢だったようです。

 本譜は飯島五段が頑強に受け続け、混戦となりました。そして形勢は逆転。最後は飯島五段が羽生玉を受けなしに追い込んで、飯島五段の勝ちとなりました。

 この勝利で羽生銀河の連覇を阻むとともに、飯島五段はベスト4に進んでいます。

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 安定した実力を誇る飯島現七段。今期王座戦で王者の羽生九段に勝つことがあっても、決して不思議ではありません。

現在の将棋界の対局進行状況

 コロナ禍は将棋界の対局進行に大きな影響を及ぼしています。

 冒頭の表にある通り、今期王座戦二次予選の糸谷哲郎八段-菅井竜也八段戦、藤井聡太七段-大橋貴洸六段戦はまだおこなわれていません。

 菅井八段は岡山県、藤井七段は愛知県在住で、対局の際には長距離移動をともなうため、緊急事態宣言下では対局延期措置がとられています。

 王位戦リーグ紅組は藤井聡太七段が4勝0敗でトップ。羽生九段は菅井八段とともに、3勝1敗で追いかけています。

 王位戦リーグ最終局がおこなわれるのも、緊急事態宣言が全国的に解除されてからとなりそうです。

 羽生九段は先日、竜王戦1組で優勝を達成しました。

 王位戦、竜王戦、そして王座戦と、羽生九段は3つの棋戦で挑戦権をうかがえる位置にいます。羽生九段が久々にタイトル戦番勝負の場に戻ってこれるのか。多くのファンの方が注目するところでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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