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西山朋佳女王(24)が加藤桃子女流三段(25)に勝利 マイナビ女子オープン五番勝負第2局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 4月16日。東京・将棋会館においてマイナビ女子オープン五番勝負第2局▲西山朋佳女王(24歳)-△加藤桃子女流三段(25歳)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 10時に始まった対局は16時24分に終局。結果は101手で西山女王の勝ちとなりました。

 五番勝負の成績はこれで両者ともに1勝1敗となりました。第3局は5月12日におこなわれる予定です。

西山女王、中飛車で勝利

 コロナ禍でタイトル戦の延期が続いています。加藤女流三段が里見香奈女流王位(四冠)に挑戦する女流王位戦五番勝負は、さらなる日程変更が発表されました。

 東京・将棋会館と大阪・関西将棋会館での対局は引き続きおこなわれています。加藤女流三段は女流名人戦リーグにで前期挑戦者の室谷由紀女流三段と対戦し、勝利を収めています。

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 西山女王は現在、男性棋士を相手に連勝中。竜王戦6組、新人王戦と、長谷部浩平四段に連勝しています。

 マイナビ女子オープン五番勝負第2局は対局場を東京・将棋会館に変更した上でおこなわれることになりました。

 振り飛車党の西山女王。第1局は後手番で三間飛車を採用しました。結果は加藤女流三段の勝ちでした。

 本局、西山女王は先手番で5筋位取り中飛車に。玉形は美濃囲いです。

 対して居飛車党の加藤女流三段は金銀4枚で自陣を固めました。

 互いにテンポよく指し進め、開始から20分もしないうちに戦いが始まります。中段で銀交換がされたあたりでは、形勢は互角のようです。

 50手目。西山女王の飛車は5筋素通しで、次に加藤陣に成り込むことができます。加藤女流三段はそれをあえて誘い、角取りに銀を打ちました。対して西山女王は小考でその誘いに乗ります。

 形勢はほぼ互角のまま、午前中の段階で終盤へと入っていきました。

 飛車交換の後、互いに相手陣に飛車を打ち込んで寄せ合いとなったところでは、西山女王がわずかにリードを奪ったようです。加藤玉を中段まで引き上げた上で、攻防にはたらく金を中段に打ち、リードを広げていきます。

 最終盤、少し流れが怪しくなったかとも思われたところで、西山女王は王手で、金をただで捨てます。これがリードを維持する好判断だったようです。

 最後は互いに端に玉を逃げる形となり、西山女王が一手勝ちを収めました。

 五番勝負はこれで西山女王1勝、加藤女流三段1勝と五分に戻りました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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