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過去の例では14勝4敗はほぼ昇級ライン 西山朋佳三段(24)は2連勝して初の「女性棋士」となれるか?

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 西山朋佳三段(24歳)の三段リーグでの快進撃が話題となっています。

 最終日の3月7日には、残る2戦がおこなわれます。西山三段が対戦するのは、17回戦は横山友紀三段(8勝8敗)。最終18回戦は伊藤匠三段(8勝8敗)。三段リーグにおける過去の対戦成績は西山三段から見て、横山三段には1敗。伊藤三段には1勝1敗となっています。

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 三段リーグは原則的に、上位2人が四段に昇段し、棋士の資格を得ます。西山三段は12勝4敗で現在暫定3位。いわゆる「他力」の状況です。

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 最終日で逆転昇級という例は過去に多くあります。

 西山三段が最終戦に2連勝すれば14勝4敗。そこで服部三段が1勝1敗、あるいは谷合三段が2連敗となれば、上位2位以内に入ることができます。

 過去65回のデータを見れば、女性の名は1人もありません。もし「西山四段」が誕生すると「女流棋士」ではない、男性と同じ条件での「棋士」は、将棋界では初めての例となります。

 さて、上位の勝敗数データを数えあげると、14勝4敗という成績をあげれば、多くの場合は昇級していることがわかります。

 もし14勝をあげて昇級できなかったら、競争相手の上位2人が手厚すぎた、ということになるでしょう。

 3位となると、惜しくも次点です。ただし次点を2回取ると、フリークラス入りという条件つきながら、四段に昇段することができます。

 西山三段の競争相手である谷合三段(現在26歳)、服部三段はいずれも過去に次点を1度取っています。

 谷合三段は既に3位以上を確定させています。過去に1度次点となったことがあるため、四段昇段の条件はすでにクリアしています。

 現在は東京大学で博士課程1年という顔も持つ谷合三段。以下のツイートを見ると、仮に次点2回となった場合には、その権利を行使して四段となる意思はあるようです。

 とはいえ、上位2人に入ればフリークラスではなく、無条件で順位戦(C級2組)に参加できます。谷合三段、服部三段ともに、最終戦は当然全力を尽くして2位以内を目指すことでしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。

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