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未来の名人、女流名人はここから生まれる? 石田和雄九段(72)の将棋教室におじゃましてきました

松本博文将棋ライター
小学1年生ながら道場では三段で指す斉藤翔真くん(記事中の写真撮影:筆者)

 石田和雄九段(72歳)は、最近では将棋界最年長YouTuberとしても知られています。

 石田九段は現役時代には名棋士、名解説者として高い人気を誇りました。現在は千葉県柏市で「柏将棋センター」を経営し、後進の指導に力を注いでいます。

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 毎週日曜日の朝早くからおこなわれている子供将棋教室は、80人ほどのお子さんが参加して、センターがいっぱいになるほどの大盛況です。

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 教室がパンクしそうなほどに子どもたちが押し寄せたのは少し前。藤井聡太七段(17歳)の活躍で巻き起こった「藤井ブーム」からでした。現在は少し落ち着いていますが、藤井七段がタイトル戦に登場するなどしてさらなる藤井ブームともなれば、またすごいことになりそうです。

 会田稜くん(6歳)は幼稚園の年長です。

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 稜くんは将棋をはじめて1年で現在は6級。年上の小学生のお兄さんたちに、この日も勝利をあげていました。

「将棋を始めてから泣かなくなりました」

 とお母さん。

 道場の人気者は斉藤翔真くん(7歳)。

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 まだ小学1年生ながら道場では三段!の腕前です。見ていると確かに強い。指し手はびゅんびゅんと早く、本筋に手が伸びています。おそらくは、並の大人ではもう勝てません。

「まだまだだよ。天狗になっちゃいけない」

 石田先生はそう言いながら、目を細めます。

「強くなるペースはいまのところ、たっちゃんと同じぐらいじゃないかな。勇気君はもうちょっと早かった」

 と石田先生。「たっちゃん」は現在の三枚堂達也七段。幼い頃、柏将棋センターの天才少年として有名でした。それと同じぐらいであれば、将来有望というしかないでしょう。「勇気君」は現在の佐々木勇気七段。小学4年で小学生名人となるなど、特別な天才として、少年時代から広く日本中にその名を知られていました。

 斉藤翔真くんに好きな棋士を尋ねたところ、

「ないしょだよ」

 と笑われました。「天真爛漫でかわいい」というのが、道場に付き添いで来られているお母さんたちの、翔真くんの印象のようです。

「ここで翔真を投入されたかー」

 と嘆く連勝中の中学生の子。ストッパーとして翔真くんの登場となりました。

 教室では石田九段や、門下の加藤結李愛女流初段などが、丁寧に指導にあたっていました。

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 女の子の姿もたくさん見られました。

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 もしかしたら将来この教室から、名人や女流名人が出ることになるかもしれません。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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