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A級に昇級するのは誰か? B級1組順位戦上位の菅井竜也七段(27)と斎藤慎太郎七段(26)が直接対決

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 1月23日。東京、大阪の将棋会館において順位戦B級1組11回戦、全6局がおこなわれています。

 昇級争いの1番手に立っているのは菅井竜也七段(9勝1敗)。菅井七段はあと2戦のうち1局を勝てば初のA級昇級となります。ただし対戦相手は斎藤慎太郎七段(7勝2敗)、千田翔太七段(6勝3敗)という、昇級を争うライバル同士。まだまだ予断を許しません。

 前期B級1組で昇級したのは渡辺明現三冠(12勝0敗)と木村一基現王位(8勝4敗)。斎藤七段は7勝5敗で次点でした。そのため、今期は順位3位と好位置で、大きなアドバンテージを持っての戦いです。

 斎藤七段が菅井七段に勝ち、他の上位者が黒星を喫して後退すれば、本日中に菅井七段、斎藤七段の昇級が決まる可能性もあります。

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 現在のB級1組の平均年齢は39.5歳。13人のうち二十代は4人です。

 菅井七段は1992年生まれで27歳。斎藤七段は1993年生まれで26歳。菅井七段は2017年に王位を獲得し、平成生まれとして初のタイトルホルダーとなっています。斎藤七段は2018年に王座を獲得しています。

 もし二十代の4人のうち、誰かがA級に昇級すれば、平成生まれとしては豊島将之現名人以来となります。

 四段昇段後の対戦は、最初に斎藤現七段が先行し、後に菅井七段が追い上げ、追い越す形で、菅井6勝、斎藤5勝となっています。

 本日の▲斎藤七段-△菅井七段戦は、後手番の菅井七段が三間飛車に振りました。そして穴熊に組む作戦です。対して居飛車の斎藤七段も穴熊に組み「相穴熊」の戦形となりました。

 菅井七段は現在の将棋界では「早見え早指し」の代表格の一人です。しかし本局はスローペース。15時の段階で三十数手しか進んでおらず、まだ駒組の段階です。

 ところで、先日おこなわれた朝日杯で、藤井聡太七段は菅井七段、斎藤七段と対戦しました。

 次の準決勝は千田七段。藤井七段にとっては、B級1組で昇級を争うほどの強豪との連戦となりました。もし決勝で永瀬拓矢二冠と対戦すれば、B級1組二十代の4人との4連戦です。

 千田七段は本日、谷川浩司九段と対戦しています。千田七段は昇級、谷川九段は残留を目指しての戦いです。

 ▲谷川九段-△千田七段戦は角換わり腰掛銀の最新形となりました。ここまでの千田七段の時間の使い方からしても、事前に深い研究があることがうかがわれます。

 順位戦は持ち時間は6時間。通例では、終局は夜遅い時間となります。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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