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掛川城対局で負けなしの渡辺明王将(35)王将戦七番勝負第1局を快勝で制す

松本博文将棋ライター
王将戦恒例の対局場、掛川城(2011年、筆者撮影)

 1月12日、13日。静岡県掛川市・掛川城において第69期大阪王将杯王将戦七番勝負第1局▲渡辺明王将(35歳)-△広瀬章人八段(32歳)戦がおこなわれました。12日9時に始まった対局は、13日16時56分に終局。結果は103手で渡辺王将の勝ちとなりました。

 渡辺王将は防衛に向け、幸先よく1勝をあげました。第2局は1月25日・26日、大阪府高槻市・山水館でおこなわれます。

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渡辺王将の会心譜

 13日9時。広瀬八段の封じ手が開かれた後、2日目の対局が始まりました。広瀬八段が金を上がって備えているところから、渡辺王将は積極的にアクションを起こしました。渡辺王将の玉頭でもあるので、ミスをすれば一気に危機に陥るところですが、渡辺王将は慎重に防衛線を押し上げていきます。そして手厚く負けづらい態勢を築くことに成功しました。

 広瀬八段は渡辺陣に駒を打ち込んで、形勢の挽回をはかります。しかし渡辺王将は誤らず、正確に応対して差は縮まりません。

 最後は自然に押し込んでいく形で、広瀬玉を寄せていきます。そして飛車を捨てて華麗にフィニッシュ。まずは快勝と言ってよい内容で、開幕第1局を制しました。

 渡辺王将は掛川城での対局は、これで5戦全勝となりました。王将位通算4期目に向けて、最高のスタートを切った形となりました。

 2019年度の成績は31勝7敗(0.816)と依然勝率トップを走っています。

 さて、掛川といえば、国内有数のお茶の生産地として知られています。将棋ファンにはおなじみの王将戦の勝者撮影、昨年の対局翌朝の写真は、掛川茶にちなんだものでした。

 はたして今年はどうなるのでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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