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三浦弘行九段(45歳)王将戦リーグ入り決定 精鋭メンバー7人確定

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月14日、第69期大阪王将杯王将戦二次予選▲三浦弘行九段(45歳)-△佐藤天彦九段(31歳)戦がおこなわれました。10時に始まった対局は17時5分に終局。結果は69手で三浦九段の勝ちとなりました。

 二次予選はこれで全ての対局が終了。挑戦者決定リーグの7人のメンバーが出揃いました。

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 これから渡辺明王将(35歳)への挑戦権を目指して、棋界屈指の精鋭7人が総当りで対戦します。

三浦九段、短手数局を制す

 三浦弘行九段は1996年、22歳五段の時に、当時七冠を制覇していた羽生善治棋聖に五番勝負で挑戦。3勝2敗で棋聖のタイトルを獲得し、七冠の一角を崩しています。順位戦はA級で、現在まで通算18期在籍しています。

 佐藤天彦九段は2016年、28歳の時に名人戦七番勝負で羽生善治名人に挑戦。4勝1敗で初タイトルを獲得し、今年2019年まで3期連続で名人位に就いていました。

 両者ともに順位戦のクラスはA級です。リーグメンバー7人のうち、C級1組の藤井七段以外の6人はA級であることは確定していました。また藤井七段以外は全員、タイトル獲得経験者です。

 振り駒の結果、先手は三浦九段。互いに飛車先を突き合う、相掛かりの戦形が選ばれました。

 三浦九段が中盤の早い段階で桂を跳ね出し、大駒の飛角が総交換され、一気に激しい展開となります。互いに側面から寄せに入りますが、飛角角の大駒3枚で迫る三浦九段の攻めの方が早かったようです。

 佐藤九段に攻防とも見込みがなくなり、69手と比較的短手数での終局となりました。

 棋王、棋聖を併せ持つ渡辺明王将に挑むのは誰なのか?

 羽生善治九段の無冠返上、100期目のタイトル獲得はなるのか?

 そして藤井聡太七段の史上最年少のタイトル初挑戦はあるのか?

 王将リーグ入りを決めた三浦九段は、8月11日、将棋日本シリーズ・JTプロ公式戦で藤井聡太七段と対戦し、180手の大熱戦の末に貫禄を示しています。

 藤井七段は、豊島将之名人には0勝3敗、久保利明九段には1勝3敗と負け越しています。史上最速のスピードで勝ち進んでいる天才少年が、これら6人の実力者とどのような戦いを見せるのか。

 誰が挑戦者になっても、誰が陥落してもおかしくない。総当り、激戦必至のスーパーリーグ。どの対戦も必見でしょう。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)、『など。

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