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女子ワールドカップメンバーが発表!平均年齢24歳、サプライズ選出も

松原渓スポーツジャーナリスト
ワールドカップに向かう23名が発表された(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 7月20日に開幕するFIFA 女子W杯オーストラリア&ニュージーランド 2023に向けて、6月13日にメンバー発表会見が行われた。

 池田ジャパンは2021年10月に発足。約1年9カ月の準備を経て、今大会を迎えた。日本はグループステージでザンビア(7月22日)、コスタリカ(26日)、スペイン(31日)との対戦が決まっている。

 記者会見の場で池田太監督が呼び上げたメンバーは、以下の23名だ。

GK

山下杏也加(神戸/27歳/2回目)

平尾知佳(新潟/26歳/2回目)

田中桃子(東京NB/23歳/初)

DF

熊谷紗希(ASローマ/32歳/4回目)

三宅史織(神戸/27歳/2回目)

清水梨紗(ウェストハム/26歳/2回目)

清家貴子(浦和/26歳/初)

守屋都弥(神戸/26歳/初)

南萌華(ASローマ/24歳/2回目)

高橋はな(浦和/23歳/初)

石川璃音(浦和/19歳/初)

MF

猶本光(浦和/29歳/初)

長谷川唯(マンチェスター・シティ/26歳/2回目)

林穂之香(ウェストハム/25歳/初)

杉田妃和(ポートランド/26歳/2回目)

長野風花(リヴァプール/24歳/初)

宮澤ひなた(仙台/23歳/初)

遠藤純(エンジェル・シティFC/23歳/2回目)

藤野あおば(東京NB/19歳/初)

FW

田中美南(神戸/29歳/初)

千葉玲海菜(千葉/24歳/初)

植木理子(東京NB/23歳/初)

浜野まいか(ハンマルビーIF/19歳/初)

 会見の場で、池田監督は、メンバー選考において重視したポイントについて次のように話した。

「全体的なポジションバランス、大会期間でチームという生き物がどういうふうに動いていくか。そういうチームバランス、チームの雰囲気をどうやって作っていくかということも含めて、総合的にいろいろな角度からチームづくりをしてきました」

 平均年齢は24.7歳。これは、前回2019年大会(24.2歳)とほとんど変わらない。一方、ワールドカップ経験者の数は、大きく世代交代に舵を切った前回の6人よりも増えて、今回は9人。東京五輪出場者も含めると、11名が国際舞台を経験している。年代別代表経験のある選手がほとんどだが、過半数の12人がA代表で初めての国際大会となる。

 2011年のドイツ大会の優勝を知るメンバーは熊谷(ワールドカップは4回目)一人となった。

 世代別では、池田監督が率いた2018年のU-20ワールドカップ優勝メンバーから7名、昨年の同大会準優勝メンバーから19歳のDF石川璃音、MF藤野あおば、FW浜野まいかの3人が選出された。石川と藤野はWEリーグでレギュラーとして活躍し、ベストイレブンに選出。浜野もスウェーデンでストライカーとして結果を残しながら大きく成長している。

石川(左)と藤野(右)
石川(左)と藤野(右)写真:長田洋平/アフロスポーツ

 所属クラブは国内組が14名、海外組が9名。国内組は優勝の浦和と2位の神戸から4名、3位の東京NBから3名が選出された。

 一方、ストライカーとして、澤穂希、阪口夢穂から10番を引き継ぎ、2016年以降のなでしこジャパンを牽引してきたFW岩渕真奈(トッテナム)が選外となった。2011年の優勝メンバーで、海外組の中では唯一のストライカーとしてチームづくりを支えてきた功労者が選外になったことは、一つの時代の終わりとも言えるだろう。

「(岩渕選手は)チーム作りの過程の中で、なでしこジャパンに対する思いを伝え、プレーでチームを引き上げて、チームのために動き、戦ってくれました。代表活動、コンディション、今のチーム状況、そして様々な大会でのシチュエーションを考えて、この23人を選ばせてもらいました。その結果、彼女だけではないですが、このメンバーにこのタイミングで選ばれなかった選手も数多くいます。なでしこに力を与えてくれた選手たちに感謝していますし、その思いは今も私の中にあります」(池田監督)

 フォワードにワールドカップ経験者がいない(植木は前回選出されたが、大会前に離脱した)という状況については、「経験の価値よりも、今、このチームで何ができるかということを中心に考えた結果」だという。「世界と戦っていく上でいろいろなタイプの選手、いろいろな方法でゴールを奪いにいく」ために、大会までの準備期間でコンビネーションを高めていくつもりだ。

 今年に入ってからの代表活動や海外遠征に選ばれておらず、“サプライズ選出”となったのが、FW千葉玲海菜(千葉)とDF高橋はな(浦和)。

 千葉は、スピードを生かした背後への抜け出しや、ゴールへの貪欲さが武器のストライカー。昨年9月のトレーニング中に右足前十字靭帯を損傷した。だが、順調にリハビリをこなし、今年5月3日のWEリーグで8カ月ぶりに戻ってきた。それから“メンバー滑り込み”を目指し、持ち前のダイナミックなプレーを存分に見せつけ、6試合で3ゴール1アシストと結果を残してチャンスを掴んだ。

千葉玲海菜
千葉玲海菜写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 高橋は、浦和の最終ラインを支えてきたセンターバックだ。池田ジャパン発足後はメンバーに定着していたが、昨年11月の代表活動中に右足前十字靭帯を損傷。リハビリをしながらオフザピッチでチームを支え、リーグタイトルを獲得した。スピードとパワーを生かした対人プレーは国内屈指の強さで、FWとしてもプレーできる。年代別代表ではキャプテンを務めてきた人間性も買われての選出だろう。試合勘に不安が残るが、池田監督は「ワールドカップに向けてのプログラムを共有して、過程を踏めばしっかり戦える。そういうことも含めて選ばせていただきました」と、大会に向けてポジティブな面に目を向けている。

高橋はな
高橋はな写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 チームは6月末からの国内合宿を経て、7月14日にユアテックスタジアム仙台で行われるMS&ADカップ2023のパナマ戦で国内最後の壮行試合を行う。この試合が、チームのお披露目となる。

 今回のワールドカップは、前回大会から出場国が8チーム増えて32チームになる。ヨーロッパの列強も出場し、大会のレベルが底上げされることは間違いない。

 FIFA(国際サッカー連盟)は近年、女子サッカーに力を入れ、賞金は2015年大会の10倍の200億円になり、今後は報酬面でも男女の格差を解消していくことを目指している。

 そうした環境の変化の中で、成長スピードを急激に上げてきた世界の強豪国に、池田ジャパンはどう立ち向かっていくのか。残り1カ月の準備期間も含めて注視していきたい。

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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