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ブラジルとの準々決勝に臨むヤングなでしこ(1)

松原渓スポーツジャーナリスト
ブラジル戦に向け、対策を重ねる(C)松原渓

11月13日にパプアニューギニアで開幕したU-20女子ワールドカップは、ベスト8が出揃い、いよいよ決勝トーナメントに突入する。

グループBを首位で勝ち上がった日本は、今日、ベスト4をかけてU-20ブラジル代表と対戦する。

試合は19:30(日本時間18:30)キックオフ。

ブラジル戦プレビュー記事

【監督・選手コメント(U-20ブラジル代表戦前)】

高倉監督
高倉監督

高倉麻子監督(試合前日公式会見)

ーー明日のブラジル戦は、どのような戦いをしたいと考えていらっしゃいますか?

ブラジルはサッカー王国ですし、グループリーグの3試合を見ても、特に攻撃陣に力があるので、難しい試合になるだろうと感じています。ただ、私たちも予選をなんとか勝ち上がってきましたし、選手たちのコンディションは良いです。ぜひ、素晴らしいゲームをしたいと思います。

ーー決勝トーナメントは一発勝負です。自分たちの良さを出すためにどんなことが大切だと思われますか?

ここまで、チームは少しずつ経験を積みながら落ち着いてきているので、とにかく選手たちが平常心でゲームに臨むことと、ベストコンディションを保つことが大切だと思います。

ーー高倉監督は1991年と1995年に選手としてブラジルと対戦しましたが、どのような思い出がありますか?

1991年と1995年のワールドカップでブラジルと対戦しました。ブラジルは非常に個人技が高く、闘争心に溢れた攻撃的なゲームをしてくるチームで、1試合は勝って1試合は負けました。今回はどうなるのかな?と、楽しみにしています。

乗松
乗松

DF 乗松瑠華(試合前日)

ーーいよいよ準々決勝ですが、チームの雰囲気はいかがですか?

決勝トーナメントは一発勝負ですし、いい緊張感の中で、みんなワクワク感の方が大きいのではないかと思います。とてもいい雰囲気で試合を迎えられそうです。自分たちが今までやってきたことを発揮するだけだと思っているので、自信の方があります。

ーーカナダ戦を踏まえて、守備陣としてブラジル戦で気をつけたいのはどんなところでしょうか?

今、意識しているのは「飛び込まない」というところです。体を張るところや1対1の場面で「負けるな」という声がかると、どうしてもガツンと奪いに行ってしまって、結果的に自分の後ろにボールが落ちてしまって、相手が前向きになってしまうシーンがありました。練習でも1対1に取り組んできましたが、飛び込まないように気をつけながらも、奪うところではしっかり奪うことができてきたので、そこを意識していきたいと思います。

ーーブラジル戦はどのようなイメージで臨みますか?

ブラジルは前線にいい選手が何人かいますが、個人的には絶対に1対1で負けないことを大前提としてやっていきたいです。カナダ戦では、スペイン戦でできなかった流動的な攻撃ができ、ゴールも多く生まれましたが、ちょっとしたプレーの質が悪く、相手に前向きで奪われてピンチを作られることがありました。もっと細かいところにこだわって、いい形で攻撃を終われたり、ゴールにつながれば、選手一人ひとりがノってくると思いますし、チームとしてもいい攻撃の形が生まれてくると思うので。日本らしいサッカーを発揮して、絶対に勝利で終えたいです。

ーー2012年のU-17女子ワールドカップではベスト8で敗退してしまいました。このステージを乗り越えるためには、どんなことが必要だと思いますか?

悪い流れをどうやって断ち切るかというところが重要になってくると思いますし、ブラジルもそう簡単に勝利できる相手ではないと思っています。難しい時間帯が来た時に、『自分が流れを変えてやるんだ』という気持ちを、プレーで表すことが大事だと思います。

籾木
籾木

FW 籾木結花(22日練習後)

ーーカナダ戦は、守備面ではスペイン戦とどんなところが変わりましたか?

スペイン戦は、相手が、4−1−4−1のシステムで、(4バックの前の)1枚をボランチが見るのか自分たちの2トップが見るのかというところで、うまくいかず、ボールの取りどころを限定できていませんでした。カナダ戦では、前線からしっかり追うことと、後ろがそれに対してついて行って、はめどころを共有することを意識しました。試合ではカナダが引いて、日本がボールを回す時間帯が多かったので、攻守の切り替えが重要でしたが、前線でボールを取り返せていたと思います。

ーーカナダ戦で、籾木選手ご自身のプレーはいかがでしたか?

(ピッチ上に吹いていた)風を考えながら攻撃していて、ボールを回せる時間帯が長かったので、どのタイミングで前を向いて仕掛けていくのかということや、どこでスピードを上げて崩すかという判断が難しかったです。回している中でアクセントをつけるのが自分の役割かなと思いますけれど、まだタイミングが仲間と合っていなかったり、相手の状況をしっかり把握できていないところがあると思うので、映像でも確認しました。

ーーグループリーグ3試合で、チームが成長したと感じるポイントはありますか?

スタメンが毎回違うところはこのチームのいいところです。どの選手が出てもやっているサッカーが変わらないのはチームの強みですし、一人ひとりが成長している結果だと思います。メンタル面では、負けを知らない世代の選手たちがしっかりと気持ちを切り替えているので、チームとしてメンタル面でも成長できているのかな、と。

ーースペインやカナダと試合をして、練習でもフィジカル面は具体的なイメージを持って取り組めるようになりましたか?

海外の選手の球際の強さは、日本とはまた違った意味合いの強さだと思います。たとえば、試合をしてあざができたり、足を踏む勢いで(球際で)寄せてくることもあります。その辺はイメージしながら練習から厳しさを出していこうと高め合っています。

ーー世界の頂点まであと3試合です。ノックアウトステージに向かう上で、今どのような心境ですか?

準々決勝は自分にとって、越えなければいけない壁だと思います。ここでの戦い方を一度経験していることを踏まえて、負けないように何をすればいいのかを下の世代にも伝えて、いいモチベーションで準々決勝に臨みたいです。

ブラジルとの準々決勝に臨むヤングなでしこ(2)(【準々決勝前の選手コメント】) に続く

スポーツジャーナリスト

女子サッカーの最前線で取材し、国内のなでしこリーグはもちろん、なでしこジャパンが出場するワールドカップやオリンピック、海外遠征などにも精力的に足を運ぶ。自身も小学校からサッカー選手としてプレーした経験を活かして執筆活動を行い、様々な媒体に寄稿している。お仕事のご依頼やお問い合わせはkeichannnel0825@gmail.comまでお願いします。

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