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全国でワクチン冷蔵庫のプラグ抜け相次ぐ 故意に抜いたらどのような罪になる?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:ロイター/アフロ)

 新型コロナウイルスのワクチン接種会場で冷蔵庫や冷凍庫の電源プラグがコンセントから抜けるトラブルが相次いでいる。関係は不明だが、ツイッター上では「プラグを抜こう」といった呼び掛けも行われているという。

 報道によれば、こうした事案は大阪府寝屋川市や兵庫県猪名川町、芦屋市、神戸市、横浜市、千葉県市原市、埼玉県川越市、島根県大田市などで発生しており、合わせて約2100回分のワクチンが廃棄されたという。

 医療機関を含めた全国のワクチン接種会場が4万超に上ることからすると、発生件数自体は少ない。

 特に臨時会場では、たとえ冷蔵庫などの電源プラグが2ピンではなく3ピンでひねりを要する抜け止め型のものであっても、延長コードやドラム型のコードリールが使用され、職員らの動線上に配線されている可能性がある。

 足を引っ掛けたり踏んだりすることで、接続が緩んで抜けやすくなっていたといった人為的なミスも考えられるだろう。

提供:R_design/イメージマート

意図的であれば悪質

 しかし、芦屋市では、テープで固定されていたにもかかわらず、電源プラグが抜けていたという。延長コード部分ではなく、本体のプラグが根本から抜けるというのは偶然とは思われない。

 もし何者かによる意図的な犯行であれば話は別であり、極めて悪質だ。

 密かに電源プラグを抜くことでワクチンの接種業務を妨害しているから偽計業務妨害罪、ワクチンを廃棄させているから器物損壊罪、そのために会場に入り込んでいるから建造物侵入罪が成立する。最高刑は懲役3年だ。

 ツイッター上で「プラグを抜こう」といった呼びかけをし、これに感化されて実際に誰かが犯行に及んでいれば、教唆犯に問われる可能性もある。

 もちろん、実行犯らは民事的な損害賠償責任も免れない。

 予防接種法では「接種を受けるよう努めなければならない」と規定されているものの、接種するか否かはあくまで本人の自由だ。接種の強制が許されないように、接種したいと思う人を妨害することも許されない。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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