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ノート(181) 介護職は出所者の再就職に向けた「希望の星」となるか

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~工場編(9)

受刑78/384日目

上申書の提出

 この日は、総連事件に関する上申書の原本を東京高裁あてに郵送した。控訴審への証人出廷を拒否するというものだ。

 通常の手紙とは性質を異にする特別な書類なので、裁判所に提出することはもちろん、原本をホッチキスで綴ること、署名の右横に指印を押なつすることなど、願箋を使って一つ一つ願い出た上で許可を得る必要があった。

 前日の取調べでは、東京高検の和田澄男検事から、証人出廷を拒否すれば勾引するし、その分だけ刑期満了の日も先になると脅されていた。

 それでも、せっかく時間をかけて作成した上申書だったし、証人が置かれている立場を裁判所にも理解させる必要があるため、提出だけはしておき、検察や裁判所の出方を見極めることにした。

 いざとなれば証人尋問の前日に「事情により出頭できません」という願箋を刑務所や拘置所に提出することで、急きょ裁判所への護送をストップさせ、期日を空転させるということも可能だからだ。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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