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ノート(127) 最後の公判前整理手続で検察側が示した釈明と確定した審理計画

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

~整理編(37)

勾留139日目

エンドレスの勾留更新

 この日は、裁判所から勾留更新の決定書が届いた。「罪証隠滅を疑うに足る相当な理由がある」ということで、4日後の2月11日から更に1か月間、勾留を続けるという。

 すでに弁護側は、裁判所に対し、起訴された犯罪事実を争わないと繰り返し明確に述べているし、1月25日の第3回公判前整理手続でも、検察側が立証に必要だと主張する供述調書などの証拠を同意していた。それらの証拠は、裁判所も採用済みだった。しかも、検察側はそれ以上の立証予定などないと断言していた。

 もやはどう考えても罪証隠滅という行為自体が客観的にあり得ないはずだった。

 裁判官に問いたいのは、勾留中の身で、しかも検察側の有罪立証がすでに終了したに等しい状況で、いったいどのような証拠を、いかなる手段や方法で隠滅するというのか、という点だ。絶対に答えられないはずだ。

 それでも、被告人側から保釈の請求をしない限り、起訴後はエンドレスに勾留を更新し続けるというのが刑事裁判の実務であり、裁判所の実態だから、判で押したような機械的な対応もすべて予想どおりのものだった。

 次回も勾留期限の数日前になると淡々と勾留が更新されるだろうと思われたし、現に3月7日には、同じく罪証隠滅のおそれを理由として、3月11日から更に1か月ほど勾留するという裁判所の決定書が届いている。

痕跡が残るメール

 一方、この数日間の報道は、大相撲の八百長問題一色となっていた。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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