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ハトの餌やりに中止命令、違反には罰金も…その後どうなった?問題の所在は #専門家のまとめ

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

何度注意されてもハトの餌やりをやめなかった人物に対し、大阪市が動物愛護管理法に基づく改善措置命令を下しました。4月末まで餌やりの中止を命じるというもので、違反したら最高で50万円の罰金に処されます。命令後、餌やりによる被害が出ていたJR我孫子町駅周辺はどうなったでしょうか。こうした餌やりを巡る問題について、理解の参考となる記事をまとめました。

ココがポイント

▼ハトは鳥獣保護法の保護対象であり、たとえ餌やりでハトが集まり、羽やフンなどで衛生面の害が生じても、簡単には駆除できない

ハト被害に悩む住民、ネズミも出没 餌やり禁止条例に効果(産経新聞)

▼ハトは木の実などを食べて生きているので餌やりの必要はないが、無責任な餌やりに苦慮する自治体は多く、条例で規制する動きも

「ビルや街灯に無数のハト」異様な光景、路上にエサまく男性…条例で給餌禁止に(読売新聞オンライン)

▼自然環境下で自活する純粋な野生動物は対象外だが、大阪市は今回のハトが長く餌付けされており、純粋な野生動物ではないと判断

ハトやカラスへの「餌やり」やめない人物に大阪市が中止命令…違反すれば罰金の可能性も(読売新聞オンライン)

▼大阪市では中止命令後、問題となっていた駅前での餌やりがなくなっただけで、約500m離れた場所では餌やりをする男性の姿が

エキスパートの補足・見解

餌やりそのものを禁止する法律はなく、動物愛護管理法の改善措置命令違反で立件されたら、全国初のケースということになります。そもそも、野生のハトに対する餌やりを法律で禁止したり、公園や駅、住宅地周辺など一定の区域を設け、罰則付きの条例で規制したりするのも一考でしょう。

ただ、お腹を空かせてかわいそうなハトに餌をやるのはいいことだと信じ込んでいる人もいます。家族から阻害され、居場所がなかったり、1人で孤独な生活を送ったりしている人であれば、餌をやることでハトが集まってくるので、承認欲求もみたされます。こうした背景もあるので、各自治体としても解決に向けて苦慮しているわけです。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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