ノート(125) ようやく保釈されるも憔悴しきった元特捜部長らの表情から伺える人質司法の過酷さ
~整理編(35)
勾留130日目
4か月ぶりの保釈
この日の朝刊によると、前日である1月28日に大阪地裁の裁判官が保釈保証金1500万円で大坪さんと佐賀さんの保釈を許可したという。
彼らは前年である2010年の10月21日に容疑否認のまま犯人隠避罪で起訴されると、その翌日には直ちに保釈を請求していたが、「罪証隠滅のおそれあり」という理由で却下されていた。
比較的保釈が許可されやすいと言われる12月末に再び請求したものの、このときも同様に却下されていた。その意味で、まさしく「三度目の正直」という展開となったわけだ。
3日前に行われた第2回の公判前整理手続で大坪さんらの弁護人が具体的な主張内容を明らかにしたことから、過去2回の請求時と比べて事情が大きく変わったと見られたのだろう。ただ、検察側が準抗告を申し立てたため、裁判所の合議による判断待ちの状態だった。
その際には、大坪さんらが保釈後にマスコミを通じて何らかのメッセージを発することで、事件関係者に証言をためらわせるといった危険性が考慮されるかもしれなかった。それでも、少なくとも客観的には罪証隠滅のおそれなどまったくない状況だった。
――保釈を許可した当初の判断が覆らなければよいのだが。
そう思っていると、夜間に放送されたラジオのニュースで、検察側の準抗告が棄却されたことや、2人が逮捕から約4か月ぶりに拘置所から出たということが報じられた。容疑否認とはいえ、さすがに1500万円という保釈保証金は高すぎるようにも思われたが、2人ともなんとかかき集め、無事に納付できたようで、一安心した。
勾留131日目
憔悴した表情
この日の朝刊では、大坪さんと佐賀さんが保釈直後に弁護士会館で行った記者会見の様子が報じられていた。
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