ノート(98) 「検察の在り方検討会議」に対する思い なおも続く厚労省事件に対する最高検の検証活動

(ペイレスイメージズ/アフロ)

~整理編(8)

勾留44日目

【検討会議の人選】

 夕方に放送されたNHKラジオのニュースで、法務大臣の私的諮問機関である「検察の在り方検討会議」の委員人事が報じられた。

 元法務大臣が座長となり、元検事の弁護士2名、元判事の弁護士2名、プロパーの弁護士2名、刑事法学者2名、有識者6名が選ばれたという。

 残念ながら、抜本的な刑事司法改革が期待できる人選とは思えなかった。

 確かに、ニュースでは、それまで何かと検察、とりわけ特捜部に批判的な意見を述べていたヤメ検弁護士とジャーナリストが委員に就任したということで、今後の活動も大いに注目されるという触れ込みだった。

 奇しくも前者は、新任である広島地検時代、ある脱税事件に関して特捜方式に基づく供述調書の作り方などを教えてくれた先輩であり、特捜部のやり方を知り尽くしていた人物だった。

 しかし、そもそも議論を取りまとめる座長は、郵便不正事件の裁判が行われていた当時、法務大臣を務め、その進ちょく状況などについて検察の現場から報告を受けていた張本人だった。

 死刑廃止論者であったにもかかわらず、法務大臣就任後、法務官僚の意向に唯々諾々と従い、当時の民主党政権下で初めて死刑執行を命じた人物だ。

 こうした座長が、抜本改革に抵抗を示す法務・検察を押し切れるはずがなかった。

 しかも、元検事枠から元検事総長が、有識者枠から元警察庁長官が選任されており、検察や警察の声を代弁する役目を果たすであろうことは明らかだった。

 さらに、プロパー弁護士の一人は、これまで数々のえん罪事件で無罪判決を獲得して名を馳せてきた刑事弁護のプロ中のプロではなく、どちらかというと民事や企業法務の専門家だった。

 刑事法学者も、取調べの全面可視化導入に否定的で、法務・検察からすると何かと頼りになる与党的な立場の研究者にほかならなかった。

 「人質司法」「検察追従」などと揶揄(やゆ)されてきた刑事司法制度を抜本的に改革するためには、検察以上に裁判所の意識を変えていく必要があったが、元判事の弁護士らが司法当局の非を認め、自陣が抱える問題にまで踏み込もうとするはずもなかった。

 結局のところ、「検察の在り方検討会議」のメンバー15名の中に極端な「アンチ検察」の論客を2名ほど入れることで、それなりに議論を尽くしたという形作りを行おうというのが法務省の狙いではないかと思われた。

 それでも、この時点では、少なくとも委員らが大阪拘置所に足を運び、単に物見遊山的に取調べ室などの視察を行うだけでなく、相応の時間を割き、僕や大坪さん、佐賀さんらから自らヒアリングを行うことくらいはやるだろうと期待していた。

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前田恒彦

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15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。きき酒師、日本酒品質鑑定士でもある。

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