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ノート(85) 官舎のメリットとデメリット 後輩に対する改ざんの告白

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~回顧編(10)

勾留28日目(続)

【官舎のメリット】

 官舎生活にはメリットもあればデメリットもある。民間企業の社宅と同様かもしれないが、例えばメリットは次のようなものだ。

(1) 周辺にある同規模のマンションなどと比べ、毎月の使用料(家賃)や駐車代が格段に安い。

(2) 契約金や敷金、礼金の制度がない。

(3) 検事の場合、希望すればまず間違いなく入居できる。

(4) 職場に近い官舎が多く、通勤に便利。

(5) 職員同士の夫婦の場合、本庁と支部といった形で勤務地を振り分けるものの、同じ官舎から通勤できるように配慮できる。

 最大のメリットとしては、やはり(1)の点が挙げられるだろう。官舎の使用料は、所在地や部屋の大きさ、築年数などによって決まるが、基本的に東京23区が最も高く、地方都市になるに従って安くなっていく。

 ただ、国民からの風当たりの強さなどもあって、段階的に引き上げられており、世帯用の官舎だと、2018年4月から次のような金額となっている。

【東京23区】

 新築~築15年:6万円~13万9400円

 築26年(全体の平均):4万8100円~11万6300円

【県庁所在地を除く人口30万人未満の市町村】

 新築~築15年:3万3800円~5万1100円

 築26年:1万7500円~3万5600円

 5年前までと比べると、例えば東京23区の築15年までで最大6万1800円、築26年までで最大5万600円、人口30万人未満の市町村の築15年までで最大1万3800円、築26年までで最大8200円の値上げだ。

 また、併せて官舎敷地内などにある駐車場の使用料も引き上げが行われており、2018年4月からは次のような金額となっている。それでも、民間に比べるとまだまだ安いのは確かだ。

【東京23区】

 1万5400円(5年前に比べて1万400円UP)

【県庁所在地を除く人口30万人未満の市町村】

 3300円(5年前に比べて900円UP)

官舎のデメリット

 とは言え、デメリットも多い。例えば、次のようなものが挙げられる。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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