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スマホで接種証明 「ワクチンパスポート」を開発、グーグルはフィットビットの買収完了

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 今日、筆者が注目した海外発の最新テクノロジーニュース3本をダイジェストで

[1]スマホで接種証明、「ワクチンパスポート」を開発

 米マイクロソフト(MS)や米オラクルなどのテクノロジー大手と医療関連団体などでつくる有志連合は1月14日、新型コロナウイルスのワクチン接種記録をデジタル保存し、手軽に利用できるようにする「ワクチンパスポート」を開発すると明らかにした

 国際的な共通基盤を策定する「ワクチン証明イニシアチブ(VCI)」を設立した。接種証明書を暗号化してスマートフォンのデジタルウォレットに保存したり、紙に印刷したQRコードの形で受け取ったりできるという。

 政府機関や航空会社、企業、学校、イベントなどでの利用を想定している。「人々が仕事や学校に戻ったり、旅行やイベントを再開したりするためには、安全で簡便なソリューションが必要だ」と述べている。

[2]グーグルがフィットビットの買収完了、米司法当局など引き続き調査

 米グーグルは1月14日、活動量計やスマートウオッチなどのウエアラブル機器を手掛ける米フィットビットの買収を完了したと発表した。ただ、ロイターは米国の司法当局やオーストラリアの競争当局が引き続き調査すると報じている。

 グーグルは2019年11月に約21億ドル(約2200億円)でフィットビットを買収すると明らかにした。取引を巡っては欧州連合(EU)の欧州委員会が「グーグルのオンライン広告市場における地位が固定化され、保有するデータがさらに増える」と懸念し調査を開始。

 グーグルはフィットビットの端末から収集した個人データを広告に使わないこと、他のメーカーがOS「Android」を継続利用できるようにすることなどを約束。欧州委は20年12月に条件付きで承認した。

 日本の公正取引委員会も21年1月14日に同様の条件で承認。グーグルは声明で、「取引の目的は機器であってデータではない。当初からフィットビット利用者のプライバシーを保護することを明確にしている」と述べている。

[3]ペイパルが中国オンライン決済企業を完全子会社に、外資で初

 米ペイパル・ホールディングスは、中国のオンライン決済企業を完全子会社にした初の外資企業になったと、ロイターが1月14日に報じた。

 2020年12月31日に、国付宝信息科技(GoPay)株式の30%を追加取得した。ペイパルは19年12月に外資として初めてオンライン決済サービス事業の免許を得て、国付宝の株式の70%を取得した。

 国付宝を完全子会社にした今、ペイパルはアリババ集団傘下アント・グループの「支付宝(Alipay)」や、騰訊控股(テンセント)の「微信支付(WeChat Pay)」と直接競合することになる。

 同国ではアリババやテンセントなどによる寡占が進んでおり、当局が大手への締め付けを強めているという。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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